2021 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化単分子膜を利用した電極修飾型有機ハイドライド法の開発
| Project/Area Number |
20K15323
|
|---|
| Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
片山 裕美 八戸工業大学, 工学部, 講師 (30823661)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 電気化学測定 / サイクリックボルタンメトリー / 自己組織化単分子膜 / 有機ハイドライド |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
近年、水素は環境調和型の新たなクリーンエネルギーとして高い関心が集められているが、水素の安定供給のために効率的な水素貯蔵技術の開発が必要不可欠である。水素貯蔵技術の一つである有機ハイドライド法は、芳香族化合物などの有機化合物中に水素を化合することで貯蔵する技術であるが、反応に高いエネルギーを要することが課題であった。電気化学的手法は、電位を設定するだけで酸化還元反応を制御することが可能であるものの、水素貯蔵材料に含まれる不純物が電極の不活化を引き起こすことや、拡散律速による反応効率の低下が課題である。そこで本研究は、水溶液中で芳香族化合物の効率的な水素化／脱水素化を目指し、水素貯蔵材料を自己組織化単分子膜として修飾した電極を用いて電極表面上での効率的な反応手法の開発を目的としている。
本年度は、ベンゼンチオール（BT）、フェニルエタンチオール（PET）、および、ナフタレンチオール（NT）を金板電極上に自己組織化単分子膜（SAM膜）として修飾し、サイクリックボルタンメトリー（CV）測定を行った。SAM膜は、ピラニア液洗浄をした金電極を10 mMのBT、PET、または、NTエタノール溶液中に浸漬させ、室温2時間静置して形成した。その後、SAM膜修飾Au作用電極、Pt対電極、RHE参照電極を用いて電気化学測定を行った。SAM膜の酸化還元挙動の場合は100 mM硫酸水溶液中、SAM膜の還元脱離波測定の場合は水酸化ナトリウム水溶液中で分析を行った。CVボルタモグラムから、SAM膜種によって水素発生電位に差があり、アルキル鎖長が長く、多環構造を有するほど低電位側へシフトすることが明らかとなった。また、10サイクル掃引後、SAM膜の還元脱離電位を比較すると、掃引前後で電位が異なっていることからSAM膜の構造に変化があると推測される。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)自己組織化単分子膜の修飾：SAM膜はピラニア液洗浄を行った金板電極（２×２㎝）上に修飾した。水素貯蔵材料を溶解したエタノール溶液に金電極を浸漬し、室温下、2時間程度静置させてSAM膜の修飾を行った。
(2)サイクリックボルタンメトリーの測定：今年度検討した修飾分子は、ベンゼンチオール（BT）、フェニルエタンチオール（PET）、および、ナフタレンチオール（NT）の3種を検討した。上述(1)の条件下でSAM膜を形成し、硫酸水溶液中または水酸化ナトリウム水溶液中でCV測定を行った。CVボルタモグラムから、SAM膜種によって水素発生電位に差があり、アルキル鎖長が長く、多環構造を有するほど低電位側へシフトすることが明らかとなった。また、10サイクル掃引後、SAM膜の還元脱離電位を比較すると、掃引前後で電位が異なっていることからSAM膜の構造に変化があると推測される。しかしながら、SAM膜脱離処理後、電解液からSAM膜化合物を抽出しGC/MS分析を行ったが、ピークを検出することができなかったためSAM膜の構造変化の評価が今後の課題である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、電位印加後にSAM膜の脱離電位がシフトしていることからSAM膜の構造に変化があると推測された。今後は、電位印加前後のSAM膜の定性分析を進めていく。GC/MSにより定性分析を進めていく予定であるが、まずはSAM膜のモデル化合物を電解液中に混合して電気化学測定から酸化還元電位を確認する。電位の予測がたった段階でSAM膜修飾電極を用いた測定に切り替えるが、水素貯蔵能に優れた構造を有するSAM膜の選定も同時に進めていく。
|
Research Products
(1 results)
