2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of aliphatic polycarbonate via copolymerization of 5-membered cyclic ethers with large distortion and carbon dioxide
Project/Area Number |
20K15325
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
本田 正義 東京理科大学, 工学部工業化学科, 助教 (70734078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 環状エーテル / ポリカーボネート / 固体触媒 / ジオール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の予定通り、1,4-シクロヘキサンジオールから1,4-エポキシシクロヘキサンを合成するための固体触媒の開発に取り組んだ。流通系の反応装置を用い、様々な固体酸触媒を適用することで、収率の向上を図っている。目的生成物の収率や選択率は、ある程度、触媒の酸性度や細孔径に依存することが明らかとなった。しかし依然として、収率が低いことが課題となっている。これは酸触媒だけでは、目的とする選択的な脱水反応のみを進行させることが難しいためと考えている。今後、金属や金属酸化物を担持した触媒の設計、開発を行うことにより、改善を試みる。また、反応に用いる溶媒を数種類試したが、目的生成物の選択率や、生成したエーテルの単離、精製のしやすさを考えると水が適していると結論付けられた。 また、一部の計画を前倒しし、これまでに報告されている様々な3員環と4員環のエーテルに対し、DFT計算を行った。構造の最適化と反応のエネルギー差を比較し、どのような構造のエーテルが二酸化炭素と共重合するかをまとめている段階である。3員環のエーテルに関しては順調に進んでいる。しかし4員環のエーテルは二酸化炭素と直接共重合することはほとんどないため、単純な比較が難しい。実際、反応系内で6員環の環状カルボナートを生成し、これが反応の中間体となる場合がほとんどである。この6員環の環状カルボナートの開環重合も興味深い研究テーマであり、このまま計算化学的手法による研究を続けていく予定である。しかし本研究が目的とする5員環の環状エーテルの場合も、このように単純な比較が難しくなる場合が予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はコロナウイルス感染症の影響もあり、当初の予定通りに固体触媒の開発が進まなかった。一方、共重合反応が進行するか否かを検証するために、計算化学を進めている。本年度は、これまでに報告されている様々なエポキシドと二酸化炭素の反応に対して計算を行い、化合物の構造最適化と反応のエネルギー差を求めた。この結果に基づき、より複雑な構造のエーテルを基質に適用した場合にも反応が進行するかどうかを検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、モノマーとなるエーテル合成用の触媒開発に取り組む。単なる酸触媒だけで反応が進行しないことも想定されるため、アルコキシドを形成する金属あるいは金属酸化物を担持した触媒を試すこともある。同時に、反応の生成物から、重合に使用するエーテルのみを単離、精製する方法についても検討を進める。エーテルは沸点が室温付近と比較的低いため、蒸留により単離できると予想している。これらの検討を進めることで、当初の計画通り、重合反応に適用することを予定している。
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