2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of bismuth-containing pai-conjugated polymers toward turn-on type fluoride sensors
Project/Area Number |
20K15331
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松村 吉将 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30791818)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フッ化物センサー / ビスマス / π共役高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
過剰なフッ素は骨の発達阻害などを起こすため、排出基準が8 mg/L以下などと定められており、高感度で簡便なフッ化物の検出方法が求められる。turn-off型のフッ素アニオンセンサーは数多く報告されている一方で、より高感度な検出が可能なturn-on型は限定的である。本研究は、アミン、ホスフィンなどと同じ第15族元素であるにもかかわらず、ルイス酸性を示す有機ビスマスの反応性に着目し、ルイス塩基であるフッ素アニオンの認識にむけたπ共役高分子の創生に挑戦するものである。ビスマス含有高分子は、Bi-Cの結合エネルギーが低いため報告例が少ないが、硫黄を介するなどの新規デザインにより安定にビスマスとπ共役高分子とを複合させる方法で研究を推進している。 初年度は、芳香族ジグリニャール試薬をモノマーとして用い、二硫化炭素と塩化ビスマスを反応させることで、ビスマス-ジチオカルボキシレート構造を有するポリマーの合成を行なった。得られたポリマーは、大気下で十分に安定なポリマーであった。このポリマーそのものは、蛍光発光挙動を示さなかったが、フッ素アニオン源として、テトラブチルアンモニウムフルオリドを添加すると、蛍光量子収率0.02程度の弱い発光が確認された。そのため、turn-on型のフッ化物センサーとして作用することがわかった。より強く発光する材料の設計として、主鎖にアルキルフルオレンを導入した類似のポリマーを合成したところ、量子収率が0.20程度まで改善された。 また、turn-on型の発光挙動のメカニズムを明らかにするために、フッ素アニオンとの反応後のポリマーの解析を詳細に行った。その結果、フッ化ビスマスと、ビスマスを全く含まない有機化合物群の生成を確認した。この結果から、ビスマスとフッ素アニオンとの特異な反応性に基づく分解によって、蛍光性の化合物が生成したために発光に転じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、安定なビスマス含有ポリマーを複数合成し、これらにフッ化物イオンを添加することで、良好なturn-on型の発光挙動を示すことを明らかにできた。さらに、そのturn-on型の発光挙動のメカニズム解明にも至ったため、今後の分子設計に活かすことができる。以上から、本研究の妥当性が支持される結果が得られており、概ね計画通りに進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したポリマーは優れたフッ素認識機能を示したが、一方でπ共役はほとんど拡張していないことがわかった。目的のフッ素アニオンセンサーとして、共役の拡張は必須ではないが、ビスマスを介した共役構造を構築することができれば、発光色の制御やより高感度なフッ化物検出も期待できる。そのため、次年度ではポリマー主鎖の構造をより広く検討し、ビスマスを介した共役構造の構築を目指す。さらに、それらのポリマーのフッ化物イオンとの相互作用や、基本的な光電子特性についても詳細に検討する計画である。
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Research Products
(3 results)