2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Novel Precision Polymerization Systems by Reversible Activation of C-H Bond
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20K15332
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内山 峰人 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10779680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子合成 / アニオン重合 / リビング重合 / 炭素-水素結合 / 逐次重合 / 可逆的連鎖移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子合成において、分子量や末端構造などの一次構造を精密に制御することは、優れた機能を有する高分子材料を開発する上で重要であり、既存の重合法に加えて更なる精密重合法の開発が必要である。本研究では、従来不活性であった炭素-水素結合をドーマント種として用いた新規精密重合系の開発を目的とした。とくに、本年度は、炭素-水素結合が脱プロトン化反応により、アニオン的に活性化可能であることに着目し、安定なアニオン種生成する炭素-水素結合をドーマント種として用い、適切な触媒を作用させることで、生長末端の炭素-水素結合の可逆的な脱プロトン化に基づく新規リビングアニオン重合系の開発を検討した。 実際に、嵩高い塩基触媒を用いた、tert-ブチルメタクリレートのアニオン重合系において、α位に活性な炭素―水素結合をもつイソブチレートを連鎖移動剤として作用させることで、炭素-水素結合を介した可逆的連鎖移動に基づく新規リビングアニオン重合が進行することを見出した。この重合系では、生成ポリマーの分子量は、モノマーと連鎖移動剤の仕込み比で制御可能であった。 一般に、アニオン重合では生長活性種が安定であるため、ドーマント種を用いなくてもリビング重合が達成可能であったが、本重合系では、生長末端に炭素―水素結合をドーマント種として組み込むことで、まったく新しい反応機構により分子量制御が可能であった。また、この新規重合系は、用いる有機金属試薬の削減可能な重合系としても有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目的とした研究いずれも順調に進行し、良好な結果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に引き続き炭素―水素結合への可逆的連鎖移動に基づく新規精密アニオン重合系の開発について検討する。本年度見出した、新規アニオン重合系において、様々なモノマーの重合制御について検討するとともに、本重合系の特徴を生かした対カチオンの設計に基づく立体構造の制御についても検討する。上記に加えて、炭素―水素結合の脱プロトン化に基づく新規逐次アニオン重合系の開発や、炭素―水素結合の選択的活性化に基づく逐次ラジカル重合系の可能性についても検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、研究活動が制限されたこともあり、消耗品等の購入費が少なくなったため。また、学会が中止やオンライン開催になり、当初の予定より旅費を使用しなかったため。 次年度、新たに学会に参加するための旅費で使用する。また、今年度、購入できなかった消耗品等の経費として使用する。
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