2021 Fiscal Year Research-status Report
Formation mechanism of polymersome studied by microscopy
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20K15337
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 倫太郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10794125)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベシクル / 時間分解小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高分子ベシクルがどのようなメカニズムで形成されるかを解明することを目的とする。そのために、溶液状態での透過型電子顕微鏡 (TEM) 観察を行うことを最終的に目指しているが、それと並行して、相補的に時間分解小角X線散乱法を用いてベシクル形成過程の観察も行っている。昨年度は主に時間分解小角X線散乱法を用いたベシクル形成過程の観察を行なった。 具体的には以下の実験を行なった。電気的に中性なブロック鎖とカチオン性のブロック鎖からなるブロック共重合体と、電気的に中性なブロック鎖とアニオン性のブロック鎖からなるブロック共重合体を水中で混合すると自発的にベシクルを形成することがこれまでの研究によってわかっている。そこで、ストップとフロー装置を用いて溶液を瞬時に混合してベシクルの形成を誘起し、その直後から時間分解小角X線散乱測定を行なった。 そのデータを解析することによって球状ミセル→棒状ミセル→ディスク状ミセル→ベシクルと構造が変化してベシクルが形成されることが明らかとなった。高分子ベシクルは膜が厚いため、低分子脂質のベシクル形成とは異なり、中間遷移体であるディスク状ミセルが湾曲してベシクルになる過程が律速段階で、この過程のエネルギー障壁を下げることがベシクルを効率よく作製する際に重要であることもわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
時間分解小角X線散乱法によりベシクル形成過程を観察することができた。一方で、溶液状態の顕微鏡によってベシクル形成過程を観察することに関しては、明瞭な顕微鏡画像を得ることが困難であり、大きな進捗はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目標は顕微鏡による実空間観察であるため、昨年度得られた結果を基にして顕微鏡観察を行なってゆく。明瞭な顕微鏡画像を得るために、コントラストの良いサンプルを探索する予定である。その際に、中間遷移体であるディスク状ミセルが湾曲しやスクなるような分子設計が重要であると考える。
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Causes of Carryover |
2020年に所属期間が変わり、研究設備が変わったため、必要な装置・備品に変更が生じたため。
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