2021 Fiscal Year Annual Research Report
コレステリック液晶による湾曲ソフトマテリアルの内部ひずみ解明と高性能フィルム創製
Project/Area Number |
20K15339
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤松 範久 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50806734)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | フィルムデバイス / 湾曲ひずみ / 中立面 / コレステリック液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,湾曲した材料の膜厚中間に位置する伸び縮みが生じない面(中立面)の位置を制御した高耐久フィルムデバイスの創製を目的とする。 前年度は,湾曲に伴う膜厚方向のひずみを検出できるコレステリック液晶(CLC)センサーを開発し,汎用的なソフトマテリアルであるポリジメチルシロキサン(PDMS)フィルム内部にCLCひずみセンサーを導入した。得られたフィルムの湾曲に伴う反射光波長変化から,材料内部の局所的なひずみ解析に成功した。 本年度は,前年度に得られた結果から湾曲に伴う中立面移動を高精度に解析し,湾曲に対してより高耐久なフィルムデバイスを作製した。湾曲によりひずみが生じないとされる中立面(膜厚中間)に注目すると,湾曲に伴い面外収縮が生じた。膜厚1500 μmであるPDMSフィルムの湾曲に伴う中立面位置を詳しく調べたところ,50%押し込んだ際に中立面が湾曲内面側へ約160 μm移動していることがわかった。加えて,画像相関法を用いてPDMSフィルム断面を解析したところ,同様に内面側への移動が観察できた。 従来のデバイス設計では,劣化を防ぐために中性面が存在する膜厚中間に導電性材料等が配置されていた。しかしながら,湾曲に伴って中立面が内面に移動することが定量解析できたため,これらを考慮する必要がある。そこで,膜厚中間および内面側にAu層を配置したPDMSフィルムを作製した。膜厚中間に配置した場合,湾曲ひずみによりAu層に亀裂が生じ,LEDライトが消灯した。一方,内面側に配置した場合,Au層に明確な亀裂が生じず,デバイスが大きく曲がった状態でもLEDライトは点灯し続けた。したがって,中性面移動を考慮した設計により,フィルムデバイスの耐久性を向上することに成功した。
|