2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K15342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 真陽 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (50854098)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子物性 / 構造色 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、Organized Microfibrillation (OM)法のプロセス中の高分子薄膜の経時変化をin-situでの膜厚計測を中心に解析した。OM法は露光過程と現像過程の2つから構成される。露光過程では高分子フィルムに光干渉、すなわち照射光の前進波と基板界面からの反射波の間に起こる定在波を、テンプレートとして架橋をする。現像過程では溶媒が薄膜上部から浸透していって架橋の弱い箇所に変形が集中的に生じて層状の多孔構造に成長する。変形と架橋の関連を考察するために、一度多孔構造が形成された高分子薄膜に処理を加えて、多孔構造を消去して、2度目の現像の様子を観測した。まずポリスチレン薄膜に通常のOMプロセスで、複数層のOM多孔多層構造を作製した。多孔構造の消去の方法として、長時間現像液につけて均一膨潤状態にする方法と、真空中でポリスチレンのガラス転移点以上の温度で加熱する手法の2つを使用した。いずれの方法でも多孔構造が消失していることが、反射率分光法によるブラッグピークの消失によって確かめられた。次に、長時間現像浸漬処理および加熱処理した薄膜に2度目の現像処理をして、その様子を反射率の変化をみて解析した。溶媒中で膨張するポリスチレンの光学モデルで反射率をフィッティングすることで、膜厚の時間変化を計算した。長時間現像浸漬処理をした薄膜の場合には、層状構造形成時に起きる段階的膜厚増大が見られず、均一な膨張が起きたことが分かった。一方、加熱処理した薄膜は段階的膜厚増大を示し、多層構造の形成が示唆された。ただし、複数回の試行のうち、x層に相当するx回の段階を示すことは稀で、1回で複数層に相当する大きな膜厚変化を起こす試験片もあった。溶媒が薄膜上部から浸透する速度と段階的な膜厚変化の起きるタイミングが、対応する1回目の現像と異なる膨張減少が起きていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
架橋パターンは多孔構造消滅後も維持され、形状記憶的な性質をもつことが明らかになった。これは不均一に架橋された高分子薄膜の膨潤挙動に関して新しい知見を与えるものである。応用を考えても、形状記憶性は多孔構造の発生・消去の繰り返しに展開できることから、構造色のセキュリティ印刷への適用などが期待できる。高分子の基礎物性から構造色への展開として、研究は計画通り順調に進展しているといえる。また、次年度に予定している2次元以上のパターン架橋のために予備的な検討を始めており、本格的な実験を始める準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続きin-situでの膜厚計測を、加熱処理を長時間にした薄膜に対して行う。2度目の現像処理後の薄膜の断面観察を試み、架橋された高分子薄膜の膨潤挙動の理解の深化を目指す。多次元架橋した高分子薄膜に各種膨潤実験を実施して、より複雑な変形挙動を解析することを目的とする。
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Causes of Carryover |
効率的に研究が推進したことに伴い、若干の未使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)