2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of twist-bend nematic liquid crystals using sulfur and selenium linkages
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20K15351
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
荒川 優樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30757365)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ツイストベンドネマチック液晶 / チオエーテル / セレノエーテル / 二量体液晶 / 三量体液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコニカル構造を形成するツイストベンドネマチック(NTB)相を示す分子の多くは屈曲型の二量体であり、三量体や四量体などの報告例は極めて少なく、チオエーテルを導入した報告例はない。本研究では、ビフェニルをメソゲン構造とする三量体において、両外側のビフェニルとアルキレンスペーサー鎖の間のリンカーにチオエーテル、中心のビフェニルに結合するリンカーにエーテルを導入した三量体を合成し、偏光顕微鏡観察、示差走査熱量測定、X線回折測定により相転移挙動および液晶相構造の評価を行った。チオエーテル系三量体は、スペーサー鎖の炭素数が偶数の場合にはレイヤー構造を有するスメクチック相を示す一方で、炭素数が奇数の場合にNTB相を示すことがわかった。これらは、偶数の場合にはビフェニルが相対的に直線的に、一方で、奇数の場合にはビフェニルが相対的にくの字状に向くことで屈曲した分子構造が安定となることに起因すると考えられる。リンカーが全てエーテルの三量体と比較し、チオエーテル系の三量体は、液晶相に関わる転移温度が低下することが分かった。次にそれらを発展させ、中心にフルオレノンを導入した三量体液晶の合成を行った。フルオレノンは2,7-位で置換することで屈曲した構造となるため、NTB液晶を目指す分子設計には適した基本骨格になりうると考えた。相転移挙動の評価により、フルオレノンを導入した三量体もスペーサー鎖が奇数の場合のみNTBを示すことが分かった。他にも、NTB相を示す分子の機能開拓として、チオエーテルおよびエステル結合(COOおよびOCO)で連結したシアノビフェニル二量体の粘弾性の評価を行った。OCOエステルと比較し、COOエステルで連結したスペーサー炭素数が4の二量体は、ネマチック相において1000倍の回転粘性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チオエーテルやフルオレノンなど、今までに三量体液晶分子に用いられてこなかった基本構造を用いたNTB液晶の新しい分子設計を提案できたため。他にも、屈曲型二量体が示す特異な粘弾性挙動など、新しい機能の開拓ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
セレノエーテルを用いた分子設計を発展させる。また、これまでに見出したNTB液晶分子の機能・構造の評価および、それらを基に新しい分子設計指針へのフィードバックを行う。
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Causes of Carryover |
年度初めのコロナウィルスの感染状況の悪化により、研究活動に制限がかかったため。翌年度の有機合成試薬、器具などの消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(16 results)