2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Grid-like Extended pi-Electron Systems Based on 5-6-5 Fused Aromatic Rings.
Project/Area Number |
20K15352
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
陣内 青萌 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40861042)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | π共役化合物 / 拡張π電子系 / 有機エレクトロニクス / 有機太陽電池 / 有機半導体 / ベンゾジチオフェン / 構造有機化学 / 有機機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではπ共役系を縦横に拡張することが可能な5-6-5 縮環型π共役化合物の幾何学的特徴を切り口として、π共役系が交差状に拡がった二次元のπ電子ネットワークを有する高機能有機半導体の創出を試みる。具体的には、分子の上下方向・左右方向への位置選択的な逐次的化学修飾が可能なベンゾジチオフェンを活用して各種電子機能性分子 (ユニット) や光機能性分子 (ユニット) を縦横に接続した『グリッド状π電子系』を構築し、二次元のπ電子ネットワークに基づく新機軸の高機能有機半導体材料の創成に挑む。以下、初年度の研究実績の概要を述べるが、要約すると次の二点である。すなわち、(1) グリッド状π電子系の構築に向けたπ電子系分子単量体の合成、(2) 良好な光起電力効果を有する側鎖骨格の開発に進展が見られた。 (1)グリッド状π電子系のモノマーとなる 5-6-5 縮環型π共役化合物 (ベンゾジチオフェンとBODIPY) の連結体の合成に成功した。得られた連結体は光機能性分子である BODIPY の特性を反映して特徴的な光吸収・発光特性を示すことが明らかとなった。 (2)グリッド状π電子系の側鎖として導入可能な、良好な光起電力効果を有する新規電子受容性ユニットの開発に成功した。本電子受容性ユニットを導入したモノマー材料は、現在標準的に使用される有機太陽電池アクセプター材料の一つである ITIC (CAS Reg. No. 1664293-06-4) に迫る発電効率を示すことが明らかとなった。 以上、本年度はグリッド状π電子系の構築に向けた単量体化合物の開拓に注力し、光・電子機能を有する低分子材料の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は光・電子機能を有するπ電子分子を縦横に (交差状に) 連結したπ電子空間を構築することによって、機能性ユニットの機能集積化を基盤とした新機軸の高機能有機半導体を提案することである。研究開始時の計画では、光機能性ユニットである BODIPY や、電子受容性ユニットであるピロリミットイミドを側鎖に導入したグリッド状π電子ネットワークを構築する予定であった。このうち BODIPY を側鎖に導入した単量体化合物は当該年度に合成することができBODIPY の光機能を反映して、特徴的な光吸収・発光特性を有することが明らかとなった。 研究計画時には予期していなかった成果として、有機太陽電池において優れた光起電力効果を有する新規電子受容性ユニットを見出した (国内学会にて発表済み、学術論文として投稿準備中)。本新規電子受容性ユニットは研究代表者が所属する研究グループが被覆型単分子導線として開発してきた分子骨格を応用したものであるが、化学修飾が極めて容易であり、本研究課題で構築を狙うグリッド状π電子ネットワークへも導入可能である。グリッド状π電子系を通じて光誘起電荷分離に有効な分子ユニットと接続することによって、従来の有機太陽電池とは異なる駆動メカニズムに基づく光電変換デバイスの実現が可能と期待される。 以上、本年度はグリッド状π電子系の構築に向けた単量体化合物の開拓に注力し、良好な光・電子機能を有する化合物の開発に成功していることから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果として、良好な光・電子機能を有する単量体化合物の開発に成功した。既に検討中であるが、次年度はこれらの単量体を利用して交差π共役系ポリマーの合成検討を推進する。研究計画に重大な変更点は無いが、初年度の成果として優れた光起電力効果を有する新規電子受容性ユニットを見出すことができたため、当初の研究計画に加えて本ユニットを側鎖に有する交差π電子系ポリマーについても合成を行い、電子的性質・機能の解明を推進する予定である。
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Research Products
(5 results)