2020 Fiscal Year Research-status Report
Modulation of electronic states of metal cluster electrocatalysts using monolayer nanosheet supports
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20K15373
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北野 翔 北海道大学, 工学研究院, 特任助教 (50736840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電極触媒 / ナノシート / 水酸化物 / クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素発生反応(OER)は反応に大きな過電圧を必要とするため、高活性な電極触媒の開発が求められている。触媒のOER活性は、反応中間体の吸着エネルギーに依存するため、触媒の電子状態を制御して中間体の最適な吸着エネルギーを実現できれば、OER活性の向上が期待できる。本研究では、材料間の電荷移動特性を利用し、金属クラスター触媒の電子状態を制御したOER高活性な電極触媒の合成を試みる。 本年度は、RuおよびIrクラスターとNi2+、Ti4+を含むLDH(NiTi-LDH)の合成を試みた。DMFを溶媒兼保護剤としてRuおよびIrクラスターの作製を試みたところ、Irクラスターはコロイド分散液の状態で合成することに成功したが、Ruクラスターは本手法では合成できないことがわかった。合成したLDHをホルムアミド中に分散させて剥離することでNiTi-LDHナノシートの分散液を作製した。Irクラスター担持NiTi-LDHナノシート (Ir/LDH) は、IrクラスターとNiTi-LDHナノシートの分散液を混合して24時間撹拌することで作製した。STEM観察から、2次元形状のNiTi-LDH上に粒径2nm程度のIrクラスターが高分散に担持されていることがわかった。Ir/LDHにおいては、それぞれの材料単独のスペクトルと比較すると、Irのスペクトルは低エネルギー側へ、NiTi-LDHナノシートのTiのスペクトルは高エネルギー側へ若干のシフトがみられた。この結果から、NiTi-LDHからIrクラスターへ電荷移動が生じていることが明らかとなった。合成した触媒をOERに適用したところ、Ir/LDHはIrクラスターおよびNiTi-LDHよりも高い活性を示した。NiTi-LDHからIrクラスターへの電荷移動によりIrが還元的な状態に変化することで中間体の吸着エネルギーが変化したため、活性が向上したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Irクラスター触媒をNiTi-LDHナノシートに担持した触媒の合成に成功した。また、Ir/LDH はIrクラスターおよびNiTi-LDHよりも高い活性を示し、NiTi-LDHからIrクラスターへ電荷移動が生じていることが明らかとなった。これらの結果から、当初の期待通り、粒径の小さなIrクラスターをLDHナノシートに担持することによってIrの電子状態を制御し、OER活性を向上させることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
DMFを用いた合成法ではRuクラスターを作成できなかったことから、他の手法によりRuクラスターの合成を試みる。また、鉄族遷移金属などの安価な金属のクラスターの合成を検討する。LDHナノシートに関しては、Ti以外の遷移金属を適用したナノシートを合成し、金属クラスターと複合した際にクラスターからナノシートへ電荷移動が生じる組み合わせを検討する。電荷移動の方向を制御することで、金属クラスター触媒の電子状態を精密に制御可能な触媒系の構築を目指す。
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Research Products
(1 results)