2020 Fiscal Year Research-status Report
The study for charge transfer reaction in Li-ion battery using first-principles calculation combined with implicit salvation model
Project/Area Number |
20K15376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春山 潤 東京大学, 物性研究所, 助教 (80772003)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / リチウムイオン電池 / 電気化学反応シミュレーション / 電極/電解液界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池(LIB)の主なセル抵抗は電極/電解液界面の電荷移動抵抗である. 抵抗低減に向けた基礎的な取り組みとして, 研究代表者はグラファイト電極/電解液界面における電荷移動反応の解析を行っている. 本研究では, 密度汎関数理論+溶液理論計算という電気化学反応に適した枠組みにより, 電荷移動反応の微視的シミュレーション及び活性化障壁と反応遷移状態の解析を実施する. 目標として, 理想的なグラファイト表面から溶媒が還元分解された不動態被膜の存在下での活性化障壁の検証, 及びグラファイトへの共挿入現象の電荷移動過程を理解することで抵抗低減への設計指針とする. 昨年度は研究開始初年度として, LIBの反応機構を議論する上で基礎となるグラファイト電極のLi挿入に伴う構造変化を第一原理計算によって解析した. 特にLi挿入グラファイトの高ステージ構造に着目し, 第一原理計算から求めた生成エンタルピーに格子振動と配置エントロピー項を加えることで生成自由エネルギーを求め, 計算で得られた熱力学的状態と実験を比較・議論した. 具体的な結果として, 生成自由エネルギーに対する振動効果の寄与は22 meV/C6 以下であり, 補正として小さいがLiC18組成における最安定状態は振動寄与及び配置エントロピーを加えないと凸包とならないことがわかった. また配置効果により低Li組成においてAB積層が熱力学的に安定となり, AB転移組成は実験と整合性のある値を示した. 以上の結果をもとに春季物理学会及び電気化学会でそれぞれ発表を行い, さらに同内容で論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始初年度として本研究の目標である電極/電解液界面の電荷移動抵抗の解析に向けて、グラファイト電極の構造変化を詳細に解析することで反応機構の理解が深まったと考えられる. 昨年度の解析は理想的なグラファイト表面/不動態被膜界面及びグラファイト共挿入現象のシミュレーションへの足掛かりとなる. 以上のように, 概ね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は電気化学反応の基礎的な振る舞いを理解するために, 密度汎関数理論+溶液理論計算を用いて半導体電極界面のフラットバンド電位などの解析もLIBのシミュレーションと並行して行なっていく予定である.
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Causes of Carryover |
未使用額18,661円は当初の予定では物品費に割り当てられていたが, 年度末に予期せぬ割引金額が適用され他への流用が困難であった。この額は少額であるため翌年度の助成金の使用計画に変更はない。
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