2023 Fiscal Year Annual Research Report
The study for charge transfer reaction in Li-ion battery using first-principles calculation combined with implicit salvation model
Project/Area Number |
20K15376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春山 潤 東京大学, 物性研究所, 助教 (80772003)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 金属/水界面 / 燃料電池 / 非線形分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
電荷移動反応のメカニズムや微視的な理解を進めることで電気化学デバイスの性能向上の指針が得られる可能性がある. 燃料電池や水電解デバイスに代表されるように、金属/水溶液界面は様々な電気化学反応の起こる舞台としてとりわけ重要である. 昨年度に行った本課題では, 和周波発生分光法から得られる二次非線形感受率を用いた水の吸着構造予測手法に着目し, 金属/吸着水系に適用可能な二次非線形感受率の第一原理計算手法の開発を行いPt表面/水吸着系で実験と第一原理計算の結果を比較した. 研究最終年度はその研究成果を利用し, Pt表面/水+酸素吸着系, Rh 表面/水(解離)吸着系, Pt表面/二酸化炭素・一酸化炭素吸着系, Au表面/炭化水素チオール吸着系について構造安定性の評価と二次非線形感受率虚部の計算を行った. 以下主にRh(111)の水吸着系について検討した内容を記す. 予備的な吸着エネルギーの計算から, √39×√39構造が安定となり, さらにcoverageが少ない領域では一部H2O→H+OHとなる解離吸着状態が安定な結果を得た. しかしながら, Rh(111)/水吸着系においては電子線回折で√3×√3構造が観察され, 解離吸着についても否定的な見解が多い. 低温金属表面で水が解離吸着するかは蒸着温度などに依存することがX線光電子分光を用いた実験からわかっており, このことは表面科学的手法で得られた構造が熱力学的な最安定状態でない可能性も示している. 今後は第一原理計算で水が解離吸着状態を形成する前後の活性化障壁を求めることで, 計算から予測される最安定状態(Rhでは解離吸着状態)が低温環境でどの程度実現されるか見積もる必要がある.
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