2020 Fiscal Year Research-status Report
結晶組成と方位を制御した高リチウムイオン伝導性酸化物単結晶の創製
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20K15377
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
丸山 祐樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (10782469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウムイオン伝導体 / バルク単結晶育成 / TSFZ法 / イオン伝導異方性 / チタン酸ランタンリチウム / ニオブ酸ランタンリチウム / タンタル酸ランタンリチウム / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
層面内の高いイオン伝導度を利用した高性能かつ安全な次世代蓄電池の開発を目指して、層状構造を有するダブルペロブスカイト型酸化物の単結晶を、溶媒移動浮遊帯域溶融法により育成し、組成制御による結晶中Li組成とイオン伝導度との相関を明らかにすることにより、層面内の高いイオン伝導経路を有するリチウムイオン伝導体酸化物単結晶を開発することを目的としている。 今年度は、チタン酸ランタンリチウム(La2/3-xLi3xTiO3:LLT)のバルク単結晶育成について結晶中 Li 濃度を制御するために溶媒組成を検討した。その結果、異なるLi 濃度を含む溶媒組成(x = 0.117-0.167)を用いることで、種々のLi濃度のLLT単結晶を育成することに成功した。そして、LLT単結晶のイオン伝導度のリチウム濃度依存性を調べ、x = 0.059 のとき、イオン伝導度は最大で 1.75×10-3 S/cmの値を示し、結晶中のLi濃度が増加するに伴いそのイオン伝導度は低下した。この原因を調べるために結晶構造を詳細に調べる必要がある。また、結晶中のLi濃度の増加に伴い育成結晶中にクラックが生じ、粒界抵抗によるイオン伝導度の低下が確認された。 また、LixLa(1-x)/3Nb1-yTayO3 の新規リチウムイオン伝導体の合成に成功し、Ta の固溶濃度が焼結体におけるイオン伝導度に与える影響を調査した。その結果、x=0.1,y=0.2 のときイオン伝導度は最大で 7.78×10-5S/cmの値を示し、Ta濃度の増加に伴い、イオン伝導度は減少した。また、Ta濃度の増加に伴い活性化エネルギーが増加することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のLi濃度を含むLLT単結晶を育成することができ、LLT単結晶のイオン伝導度のリチウム濃度依存性を明らかにできた。しかし、育成中にLi成分の蒸発によって結晶中のLi濃度は仕込み組成よりも減少し、さらに育成結晶中にクラックが生じた。これによりイオン伝導異方性を詳細に検討できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
TSFZ法によるLLT単結晶の育成条件を引き続き検討し、サブグレインのないLLT単結晶の高収率化を図り、イオン伝導異方性を詳細に調べる。特に、Seed育成による成長方位の最適化など育成条件を検討により、育成方位による溶融帯の安定性や結晶形状への影響を明らかにすることで、異なる結晶方位をもつLLT単結晶を育成しイオン伝導異方性を明らかにする。
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