2021 Fiscal Year Research-status Report
プラズマメンブレンリアクターにおけるゼオライトによる水素精製促進メカニズムの解明
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20K15378
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
早川 幸男 岐阜大学, 工学部, 助教 (40799946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素製造 / アンモニア / 大気圧プラズマ / 水素分離膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は「ゼオライトの触媒効果によるNH3分解の促進効果」の調査を行った。PMR内にゼオライトを封入し、アンモニアの放電分解実験を行った。比較としてアンモニアの熱分解触媒であるRu/Al2O3触媒を封入した放電分解試験も行った。供給するアンモニアガスとしてシステム排ガスを模擬した低濃度アンモニアガス(5000ppm)と原料ガスである高濃度アンモニアガス(99.9%)の二種類のガスを用いた。低濃度アンモニアガスを用いた実験に関して、ゼオライトを封入することで完全分解に到達する印加電圧の低減(20 kV→16 kV)に成功した。これはゼオライト表面へのアンモニア吸着が起こり、ゼオライト表面の沿面放電によりアンモニア分解が促進されたことに起因する。また、高濃度アンモニアガスを用いた実験において、印加電圧16 kV、供給アンモニア流量0.5 L/min条件において、アンモニア分解率の向上(26%:ゼオライト無し→33%:ゼオライト封入)が確認された。しかし、Ru/Al2O3を封入したPMRを用いて同様の条件でアンモニア分解試験を行うとアンモニア分解率63%まで到達した。この要因としては大気圧プラズマ点灯時に生じるジュール熱による触媒効果が発揮されたものと考えている。つまり、ゼオライト充填PMRでは「プラズマ放電分解+ゼオライト表面の沿面放電によるアンモニア分解」が起こっているのに対して、Ru/Al2O3充填PMRでは「プラズマ放電分解+ジュール熱による触媒熱分解」が起こっており、触媒熱分解の寄与度が高いのでRu/Al2O3充填PMRの方が高いアンモニア分解性能を示したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ゼオライト封入PMRによるアンモニアの放電分解実験を行った。供給するアンモニアガスとしてシステム排ガスを模擬した低濃度アンモニアガス(5000ppm)と原料ガスである高濃度アンモニアガス(99.9%)の二種類のガスを用いて試験を行ったが、低濃度および高濃度アンモニアガス実験においてはゼオライトによる放電分解のアシスト効果を確認できた。さらに予想に反してRu/Al2O3封入PMR試験においてアンモニア分解率63%という結果も得られており、おおむね順調に研究を遂行できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は当初の予定通り、「ゼオライト上でのプロトンリレーによる分離膜へのプロトン輸送量促進効果検証」に関する調査を行う予定である。カチオン種の異なる種々のゼオライトに関してXPS測定などを通じて、Si/Al比や骨格構造などゼオライトの物性を計測して、FT-IR法により各種ゼオライトの酸性水酸基の解離エンタルピーを算出し、水素精製実験の結果と照らし合わせることでプロトン輸送量促進効果と水素精製性能との相関性を調査する予定である。
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