2020 Fiscal Year Research-status Report
誘導加熱を利用した金属助触媒の選択的加熱による高密着化と水分解活性の高性能化
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20K15383
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 友一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 助教 (30843122)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 誘導加熱 / 光触媒 / 助触媒 / 水素生成 / ドーピング / 金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素生成に活性を示すIr助触媒を担持したIrドーピングSrTiO3(Ir/SrTiO3:Ir)光触媒における誘導加熱処理効果を調べた. 固相法によって合成されたSrTiO3:Irに対して含浸法によりIr助触媒を担持させた.その後, 高周波誘導加熱(HI)装置を用いてアルゴン雰囲気下でアニール処理を行った.HI処理では導電性グラファイトるつぼを用い, 放射温度計によって,るつぼ上の温度をモニターした. 673から1023 KでHI処理を施したIr/SrTiO3:Ir光触媒による可視光照射下(λ>440 nm)における犠牲試薬を含む水溶液からの水素生成活性を調べたところ, いずれの温度条件においても水素の生成を確認した.HI未処理のIr/SrTiO3:Ir光触媒は水素生成活性をほとんど示さないことから, HI処理による本光触媒の高性能化に成功した.昇温に10秒程度,室温までの冷却に10分程度でHI処理を終えることができる.したがって,非常に短時間で本光触媒の高性能化を達成できた点は特筆すべき事項である.拡散反射スペクトルより,873-1023 Kで処理を行った試料において,SrTiO3にドーピングされているIrイオンがIr(IV)からIr(III)に一部還元されていた.蛍光X線分析によってIrのモル比を算出した結果,いずれの温度条件においても誘導加熱処理によるIrの揮発は起こっていなかった。さらに,HI処理の最適温度条件であった973 Kに温度を固定し,Ir助触媒の担持量の最適化を0.38-1.14 wt%の範囲で行ったところ,0.76 wt%が最適であった. Ir以外の金属助触媒(Rh, Pd)も検討したところ,Irと同様,誘導加熱処理によって活性が向上した.このように誘導加熱処理による本光触媒の高性能化に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ir/SrTiO3:Ir光触媒の水素生成活性の高性能化には成功しているが,当初の目的である水分解性能の高性能化にはまだ至っていないため,進度をやや遅れいていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた誘導加熱処理に関する知見を種々の光触媒材料に活かし,水分解活性の高性能化を目指す.具体的には,水素生成に活性なSrTiO3:Rh,種々の硫化物金属光触媒,酸素生成に活性なBiVO4光触媒,水分解に活性なAgTaO3などを使用し,それら光触媒に種々の金属助触媒を担持させる.その後,誘導加熱処理を行い,Zスキーム型水分解および単一粒子型光触媒による水分解性能を調べる.さらには光触媒の表面状態のキャラクタリーゼーションを行い,誘導加熱処理前後の詳細な物性を調べる.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響による学会の旅費の支出がなくなったこと,研究の進捗の遅れによる消耗品の支出額が少なくなってしまったことが挙げられる. 当初の研究計画に従って消耗品の支出を行う.次年度の研究遂行のため,新たに光源装置を購入する必要がでてきたため,次年度剰余額をその購入のために使用する.
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Research Products
(4 results)