2021 Fiscal Year Annual Research Report
誘導加熱を利用した金属助触媒の選択的加熱による高密着化と水分解活性の高性能化
Project/Area Number |
20K15383
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 友一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 助教 (30843122)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光触媒 / 誘導加熱 / 助触媒 / 水素生成 / 金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では,水素生成に活性を示すIr助触媒を担持したIrドープSrTiO3光触媒に対して高周波誘導加熱(HI)処理を施すことで,その高活性化に成功した.この処理には導電性のグラファイトるつぼを使用しており,そのるつぼが熱せられることで試料が加熱される.今年度は,HI処理を施した試料の助触媒のキャラクタリーゼーションを行った.その結果,Ir助触媒はHI処理によってIr金属に還元されたことがわかった.通常,光触媒への還元処理には爆発の危険性がある水素が用いられている.本研究によって不活性ガスのArを用いた安全性の高い還元処理が可能となったことは特筆すべきである.また,水素を用いた還元処理では加熱の際,昇温および冷却に時間を要するため全体の処理時間が数時間にも及んでしまう.一方で,本手法を用いると約10分で還元処理を終えることができる.以上の結果から,本研究課題によって安全かつ迅速な新規還元処理の手法の開拓に成功した.さらに今年度では,誘導加熱処理がもつ導体への選択的加熱という特徴を活かした光触媒の高活性化の研究にも着手した.るつぼとして絶縁性のアルミナを,モデル光触媒としてPt助触媒を担持したSrTiO3光触媒を用い,Ar雰囲気下で誘導加熱処理を行った.その結果,誘導加熱処理を施すことで水素生成半反応活性が向上した.今後,詳細なキャラクタリーゼーションが必要であるが,Pt助触媒がHI処理によって局所加熱されたことで光触媒との高密着化が実現したためであると現状考察している.以上のことから,誘導加熱による迅速な加熱処理によって光触媒の高活性化に成功した.
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