2020 Fiscal Year Research-status Report
アミノペプチダーゼ活性解析を可能にする動的核偏極分子プローブの開発と生体応用
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20K15396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 雄太朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10846281)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動的核偏極 / アミノペプチダーゼN / 分子イメージング / 分子プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
核磁気共鳴イメージング(NMR/MRI)は、非侵襲的に生体内の分子の情報が得られる技術であり、生体内の物質変換である「代謝」を動的に解析する手法として有力である。しかし、生体分子の多くを構成する主な元素である炭素や窒素を検出対象とした場合、安定同位体である13Cや15Nは核磁気回転比が小さく、感度が非常に低いためそのままでは生体内の分子を観測することができない。動的核偏極法(DNP)は、NMR感度を劇的に向上させることができる技術であり、この問題を解決する有力な手段である。そのため、動的核偏極によって高感度化した分子プローブを用いて生体内の動的挙動を追跡・可視化するDNP-NMR/MRIは、次世代分子イメージング法として盛んに研究されている。一方で、生体応用可能な分子プローブは数少なく、これがDNP-NMRの応用を大きく制限している。この原因は、実用的なDNP-NMR分子プローブを設計するための知見やガイドラインが乏しいために開発が進んでいないことである。そこで本研究では、化学的に分子を設計することによって、生体内で重要な役割を果たすアミノペプチダーゼの活性を検出する実用的DNP-NMR分子プローブの開発を目指した。 本年度の研究成果として、2016年に我々の研究グループが報告しているアミノペプチダーゼN活性を検出するDNP-NMR分子プローブを基盤として、より詳細にプローブおよび対象となるアミノペプチダーゼNの分子構造に注目することにより、生体内で機能する新たなDNP-NMR分子プローブの開発に成功した。特に分子プローブの構造に由来する酵素反応の速度論パラメーターKmおよびkcatに関して詳細に解析することによりDNP-NMRによって酵素活性を検出する適切な分子デザインを可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、研究期間前半は研究進度に遅れが出たが研究遂行の予定を組み替え、共同研究機関と連携することにより、その遅れを取り戻すことができたと考えている。この予定の変更に伴い、予算執行額は予定よりも少なくなったが、次年度にその分を回す事ができるので、それらを活用してさらに研究を加速させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に申請書の研究計画通りに遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究遂行予定計画の順番を入れ替えたため。
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Research Products
(6 results)