2021 Fiscal Year Research-status Report
遠縁種間の微生物二次代謝産物生産を可能にする人工生合成遺伝子の創製
Project/Area Number |
20K15410
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 拓哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (10783714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異種発現 / コドン最適化 / 人工遺伝子クラスター / 非リボソーム型ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度構築した人工遺伝子クラスターの発現最適化について検討した。人工遺伝子クラスター内の遺伝子のうち、母核を形成するモジュール型非リボソームペプチド合成酵素の遺伝子について、発現の最適化を検討した。昨年度までに放線菌S. avermitiilsおよび、S. lividans内で機能するプロモーター配列を遺伝子クラスター最上流に配置したコンストラクトを作成し、評価したが、化合物生産は見られなかった。そこでまず、他のプロモーター配列を利用して、遺伝子クラスター最上流に配置した発現コンストラクトを構築した。宿主として、S. avermitiilsおよび、S. lividans、さらに宿主放線菌として、これまで利用していなかったS. albusについても検討を行った。各宿主の遺伝子導入株の培養抽出物を分析し、化合物生産を検討したが、NRPS化合物の生産は確認できなかった。 次にプロモーターを複数の箇所に導入したコンストラクトについて作成し、転写の効率化を検討した。遺伝子クラスターの中腹に位置するytfF遺伝子の上流にプロモーターを配置したコンストラクトを構築し、化合物生産を検討した。しかしながら、3宿主での化合物生産は確認できなかった。現在、各遺伝子上流の非翻訳領域の最適化を検討している。当初の設計ではリボソーム結合配列のみを配置していたが、各遺伝子のRBSの下流に発現を効率化させるための配列を設計した。この設計に従った配列挿入作業を現在行っている。類似配列を複数箇所に挿入するため、コンストラクト構築作業が滞っている。コンストラクト作成後、各宿主内での評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のコロナウイルスの感染拡大により、4月―5月、7月―9月と2度にわたり、緊急事態宣言発令に伴う出勤制限があった。そのため、実験実施期間が限られたことが原因で、実験の進捗に遅れが出ており、本来完了予定だったコンストラクトの構築・評価も進んでいない。今年度は評価予定だった、異なるアルゴリズムでコドン再設計した人工遺伝子クラスターについて、現在のところ進捗がない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、化合物生産が見られていないことは各遺伝子の発現量が化合物生産に十分でないと考えられる。そこでまず転写解析を行い、現在の発現量について確認する。そのためにプロモーター導入直下と遺伝子クラスターの最下流の箇所の転写解析を行い、遺伝子発現のモニタリングを行う。遺伝子発現の低い遺伝子の上流にプロモーター配列を挿入することで発現量の向上を検討する。転写量がある程度見られたにもかかわらず、タンパク質の発現量についても、SDS-PAGE、もしくはMS解析による確認を検討する。発現量が低い場合にはコドン最適化したNRPSの配列設計についても、再検討を行い、よりタンパク質発現の効率が向上するようなコンストラクトを設計する。確認のため、現在利用している人工遺伝子クラスターの配列について、全長の配列解読によって、実際の配列がデザインの通りになっているかについて確認する。
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Causes of Carryover |
昨年度のコロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令に伴う出勤制限によって、事業が計画通り進捗しなかったため、補助事業期間の延長に伴い、残額を計上した。次年度使用額については遺伝子クラスターのコドン最適化、プロモーターの追加挿入のためのDNA合成などで利用する。
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