2020 Fiscal Year Research-status Report
分子プローブを用いた癌関連糖脂質の機能解明及び制御への応用
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20K15412
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
河村 奈緒子 岐阜大学, 高等研究院, 特任助教 (80849711)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガングリオシド / シアル酸 / 脂質ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、癌細胞上に存在する癌関連糖脂質(ガングリオシド)を標的に、その効率的合成法の開発、さらに分子プローブを利用した癌細胞の増殖・浸潤の分子基盤の解明を目的としている。初年度である本年度は、当初の計画に基づいて、ガングリオシドプローブの化学合成に注力し、以下の成果を得た。 1.新規ガングリオシド合成法の開発 ガングリオシドの化学合成において、これまでは糖鎖へのシアル酸の立体選択的導入が課題であった。そこで、この課題を克服する新たなガングリオシド合成法を立案した。申請者らが最近報告した二環性シアル酸供与体を用いた完全なα選択的グリコシド化法を基に、糖脂質にシアル酸を直接的に導入する合成法を検討した。その結果、モデル実験において、極めて高収率にてガングリオシド骨格の構築が可能であることを見出し、新規合成法の有用性を証明した。 2.ケミカルプローブ合成のためのシアル酸修飾法の確立 1の成果を基に、次にシアル酸に対する化学修飾を試みた。ガングリオシド骨格構築後に二環性シアル酸が有する架橋部を化学選択的に開裂することで、多様なアミノ基修飾体への誘導を可能にした。さらに、9位の水酸基をアミド基で修飾した二環性シアル酸供与体を糖脂質のシアリル化反応に用いることで、蛍光ガングリオシドプローブへの誘導も可能であることを実証した。次年度は本手法を用いて、癌関連糖脂質の蛍光プローブ及び分子捕捉用プローブの合成を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において最も重要なガングリオシドの化学合成法を改良したことにより、研究遂行上の課題を解消することができたと考えている。当初の計画通り合成を進めており、次年度には目的分子の合成を達成できると考えている。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
癌関連糖脂質の分子プローブの合成を達成する。合成完了後は当初の研究計画に従い、細胞上での1分子イメージング、光架橋反応による親和性タンパク質の同定を実施する。
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Causes of Carryover |
今年度は、39万円の次年度使用額が生じた。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、主に旅費の使用計画に変更の必要性などが生じたためである。繰越分は次年度の消耗品(蛍光色素)の購入費用に充当させる。研究成果は順調に得られているため、研究計画や予算計画の大幅な変更は必要ないと考えている。
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[Journal Article] Homeostatic and pathogenic roles of GM3 ganglioside molecular species in TLR4 signaling in obesity2020
Author(s)
H. Kanoh, T. Nitta, S. Go, K. Inamori, L. Veillon, W. Nihei, M. Fujii, K. Kabayama, A. Shimoyama, K. Fukase, U. Ohto, T. Shimizu, T. Watanabe, H. Shindo, S. Aoki, K. Sato, M. Nagasaki, Y. Yatomi, N Komura, H. Ando, H. Ishida, M. Kiso et al.
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 39
Pages: e101732
DOI
Peer Reviewed
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