2020 Fiscal Year Research-status Report
特定がん細胞に局在することで蛍光OFF/ONスイッチングする蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
20K15416
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
越智 里香 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (80709618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 自己組織化 / 凝集誘起発光 / がん細胞 / 超分子 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、前立腺がん細胞に選択的に取り込まれ局在化(凝集)することで非蛍光性(OFF)から蛍光性(ON)へとスイッチングするOFF/ON型蛍光プローブを開発し、前立腺がん細胞のリアルタイムイメージングを目指す。 一般的な蛍光プローブ(常に蛍光性である“always-ON型”)は、生細胞のリアルタイムイメージングの実施が困難な場合がある。その理由として、水系環境下で凝集し濃度消光することによる検出感度の低下や、細胞外に存在する蛍光プローブの洗浄操作を要することが挙げられる。この問題点を克服するため、本研究では分散状態では非蛍光性であるが凝集状態では蛍光性を示す凝集誘起発光(AIE, Aggregation-Induced Emission)という現象に着目した。プローブ分子中に当研究室で新たに見出しているAIE特性を示す色素部位と、前立腺がん細胞に選択的に結合し細胞内への取り込みを誘発するリガンド部位(DUPA)を導入することで、目的である前立腺がん細胞のリアルタイムイメージングを目指す。 本年度は、AIE型蛍光プローブ候補分子の合成ルートを確立し、分子ライブラリの合成をおこなった。これまでに予定していた分子群の合成をほぼ完了している。 次年度は、合成した分子ライブラリについて目視観察ならびに蛍光スペクトル測定などをおこない、AIE特性を示す分子群を見いだす。そして、前立腺がん細胞のリアルタイムイメージングに取り組みOFF/ON型蛍光プローブとしての機能性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIE型蛍光プローブ候補分子の合成ルートを確立し、当初予定してた分子ライブラリの合成をほぼ完了している。加えて本研究を実施する過程で、分子の集合状態に依存して色調変化を示す両親媒性分子群(超分子ヒドロゲル)に関する新たな知見を得て研究成果とすることができた。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに分子の合成ルートを確立し、分子ライブラリの合成をほぼ完了している。今後は、合成した分子ライブラリについて物性評価をおこないAIE特性を示す分子群を見いだす。そして、前立腺がん細胞のリアルタイムイメージングを試みる。
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Causes of Carryover |
COVID-19流行により出張を取りやめたため旅費を要しなかったこと、当初支出を予定していた共通機器使用料ならびに論文投稿費の一部を他予算(学内プロジェクト経費)により賄うことができたことから差額が生じた。 差額については、今後研究が進むにつれて必要となる器具・試薬類の購入、旅費、論文投稿費、共通機器使用料として活用する。
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Research Products
(8 results)