2022 Fiscal Year Annual Research Report
AIを活用したデータ駆動的研究による新規抗線維化薬の探索
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20K15422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野島 陽水 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任講師(常勤) (30815717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工知能 / 機械学習 / マルチオミクス / 創薬探索 / ビッグデータ / 特発性肺線維症 / IPF / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis; IPF)は遺伝的要因および環境的要因によって発症する呼吸器疾患であり、有効な治療薬が社会的に求められている。IPFは肺がんと密接に関連しており、発症メカニズムに多くの類似点がある。そこで本研究では、大規模な公共癌細胞株データベースの情報と人工知能(Artificial Intelligence; AI)を活用し、データ駆動的な研究を展開する。具体的には細胞のマルチオミックスデータと化合物情報を用いて、化合物添加による細胞生存率を予測するAIを開発する。開発したAIにIPF患者肺から樹立した初代培養細胞のマルチオミックスデータと化合物情報を入力し、IPF治療に有効な候補化合物を提案する。最終的には、実験的検証により化合物の薬理効果を確認する。 最終年度の当初の計画では、市販のIPF患者の肺線維芽細胞の初代培養細胞を購入し、薬理効果の検証を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により検体入手が困難な状況となった。また、令和3年度の当初の計画においても、IPF患者の肺線維芽細胞の初代培養細胞を購入しマルチオミックスデータを収集する予定であったが、上記と同様の理由により検体入手が困難になったことから、公共データからIPF患者肺のマルチオミックスデータを探索・収集し、これを用いることにした。しかし、公共オミックスデータから得られる説明変数の数(遺伝子やタンパク質数など)は、初年度のモデル構築時の説明変数の数を十分にカバーしていなかったため、公共オミックスデータに合わせたモデル構築を再度実施した。その結果、初年度に交差検証で得られた精度を下回ったことから、遺伝子・タンパク質・代謝物等の複数のオミックスデータを統合することが精度向上に必須であることがわかった。 一方、本研究から派生した研究として悪性腫瘍の治療・診断に関する論文を国際学術誌に発表した。
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