2020 Fiscal Year Research-status Report
鉄還元窒素固定菌から見た水田土壌の炭素・窒素動態:稲が土を肥やし土が稲を育てる
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20K15423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (80813237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 13C-SIP / 15N-SIP / 鉄還元菌 / 窒素固定 / 水田土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)稲わら分解微生物の解明(13C-SIP)、稲わら分解により生成する炭素化合物の特定 水田土壌ミクロコズムを用いて落水期および湛水期における稲わらの分解速度を測定し、13C-SIPおよび分解産物である炭素化合物の特定を行う際の培養期間を決定した。また、炭素化合物として主に考えられる有機酸および糖類の土壌からの抽出法の検討を行った。具体的には、蒸留水、酢酸およびリン酸緩衝液、有機溶媒をそれぞれ溶媒とし、振盪法およびソックスレー法を比較検討した。また、有機酸および糖類を検出する際に使用するGCMSおよびLCMSについても検討した。現在13C-稲わらを用いてミクロコズムの作製を行っている。 (2)鉄還元窒素固定菌による窒素固定量の解明(15N-SIPおよびIRMS) 15N2を気相に封入した水田土壌ミクロコズムを作製し、鉄還元窒素固定菌が実際に15N窒素を取り込んでいることを確認するとともに、大気由来窒素を取り込む他の微生物群の特定を試みた。これまでに、48時間培養を行ったサンプルについてサンプルの分画および定量PCRが終了し、鉄還元菌由来の窒素固定遺伝子は14Nで培養を行った時と比較して15Nで培養を行った時に密度が高い画分にピークがシフトすることを確認した。現在は、同ミクロコズムにて72時間培養を行ったサンプルについても同様の解析を行っている。また、アンプリコン解析やメタゲノム解析も用いることにより、15Nを固定した微生物群集を詳細に明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、海外からの13C-稲わらおよび15N-窒素の輸入が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
13C-稲わらおよび15N-窒素の入手は遅延したが、15N-SIPおよびIRMSについてはミクロコズムの作製および一部の解析は終了している。今後はIRMSを用いた窒素固定量の算出を行うと同時に、アンプリコンおよびメタゲノム解析により15Nを取り込んだ微生物群集を明らかにする。13C-SIPについてはミクロコズムの作製を行っている。今後土壌サンプリングと13C-SIPおよび有機酸・糖の解析を随時行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19で遅れた実験があったため。
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Research Products
(3 results)