2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15428
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳納 吉秀 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80865816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微生物間相互作用 / 細胞外電子移動 / 微生物電気化学 / 微生物燃料電池 / Shewanella / 緑膿菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物を利用したバイオ発電技術は、環境調和型のエネルギーシステムとして世界的に注目を集めている。発電の高効率化へ向け、菌の純粋培養系における電極―菌体間相互作用がこれまで盛んに研究されてきた。一方で、電極上の異種菌体同士の相互作用に関する知見は乏しい。そこで本申請課題では、バイオ発電のリアクターで頻繁に用いられるシュワネラ菌(Shewanella oneidensis MR-1)と、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa PAO1)の間に生じる相互作用を分子レベルで解明し、バイオ発電を高効率化することを目的としている。 本年度は、シュワネラ菌と緑膿菌の間に生じる相互作用を明らかにするため、生成物の分析や電気化学測定を行った。その結果、緑膿菌が産生するピオシアニンと呼ばれる酸化還元分子がシュワネラ菌の発電能を向上させる際の分子機構を明らかにすることができた。また、定電位測定、サイクリックボルタンメトリー測定、微分パルスボルタンメトリー測定などの様々な電気化学解析法を駆使することで、発電能向上に関わる速度論的性質を明らかにすることができた。 今後、シュワネラ菌と緑膿菌の共培養による発電能の向上を目指す。この際重要になると考えられる、①シュワネラ菌の発電能向上に必要なピオシアニン濃度の定量、②発電用リアクター中での緑膿菌のピオシアニン生産量の定量、③緑膿菌のピオシアニン生産を促進する条件の検討を行った。①、②を完了し、現在は③を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、緑膿菌がシュワネラ菌の発電能を向上させる分子機構と速度論的性質を明らかにすることができた。また、本申請課題から得た電気化学の知見を用いて、光合成細菌の発電に関する分子機構を明らかにした。本成果は、ChemElectroChem誌に掲載され、雑誌カバーに採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
シュワネラ菌から緑膿菌への作用を明らかにする。また、シュワネラ菌と緑膿菌の電気化学共培養系を確立し、発電能の向上を目指す。
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Research Products
(4 results)