2021 Fiscal Year Annual Research Report
環境中における高度不飽和脂肪酸誘導体の分布と応用展開
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20K15433
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 知生 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (50766194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シクロオキシゲナーゼ / リポキシゲナーゼ / 長鎖多価不飽和脂肪酸 / PUFA / 脂肪酸誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラキドン(ARA)酸生産菌Mortierella alpinaに大豆、緑膿菌由来リポキシゲナーゼ(LOX)遺伝子を導入することにより、グルコースからARAを経て、ARA誘導体であるLOX産物が生合成されることを明らかにした。また、M. alpinaにヒト、ツノザメ、バクテリア、ゼブラフィッシュ由来シクロオキシゲナーゼ(COX)遺伝子を導入し、M. alpinaのエイコサペンタエン酸(EPA)生産条件である低温にて培養することにより、グルコースからEPAを経て、EPA誘導体であるCOX産物が生合成されることを明らかにした。さらに、上記形質転換株に脂肪酸Δ17不飽和化酵素遺伝子を共発現させM.alpina自身のEPA生産能を向上させることにより、EPA由来LOX産物の生合成と、EPA由来COX産物の生産性向上に成功した。 また、α-リノレン酸(ALA)誘導体化酵素遺伝子をM. alpinaに導入し、ALAを添加した上で培養することにより、ALAをALA誘導体に変換できることを示した。 上記の結果から、種々のCOX、LOXは異種生物間でも問題なく機能すること、すなわち、これら脂肪酸誘導体化酵素遺伝子が自然界において普遍性の高いものであろうことを示すとともに、脂肪酸高生産菌であるM. alpinaを宿主として用いることにより、より効率的な脂肪酸誘導体生産が可能となる可能性を提示することができた。
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