2020 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸菌耐熱化育種株で見つかった多剤排出系複合体による酢酸耐性能の検討
Project/Area Number |
20K15435
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 奈実 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (90814624)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 酢酸菌 / 酢酸耐性 / 多剤排出輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
酢酸菌は、高濃度の酢酸を生成する酢酸発酵を行うため、特有の酢酸耐性機構を持つが、未だその全容は解明されていない。先行研究において、耐熱化育種により取得した酢酸菌Acetobacter pasteurianus SUK1108の耐熱化育種株は、高温生育および酢酸耐性能が向上し、この耐熱化株に見出された変異の1つである転写レギュレーターmarR遺伝子を破壊すると酢酸耐性能が増加した。また、marRとそのホモログ(marR2)の下流に存在する多剤排出輸送体遺伝子群が耐熱化株で高発現していた。本研究は、marRおよびmarR2の下流の多剤排出輸送体遺伝子群が酢酸菌の酢酸耐性に関与するか否かを明らかにすることで、酢酸耐性機構の解明を試みることを目的とした。 marRの下流には多剤排出輸送体のfusE、外膜の分泌タンパク質のnodTが存在し、marR2の下流には多剤耐性タンパクのfusBが存在している。fusBは内膜、fusEはペリプラズム、nodTは外膜に局在していると予想され、膜表層を貫通する多剤排出輸送複合体を形成していると考えられる。令和2年度は、酢酸菌に特有のfusB遺伝子のみだけを持つプラスミドとmarR下流遺伝子配列全てを発現するプラスミド(fusB-hypo-fusE-nodT遺伝子)を構築した。これらプラスミド大腸菌および酢酸菌に導入し、寒天培地および液体培養にて酢酸耐性能を試験したが、両宿主で酢酸耐性能の向上は見られなかった。そこで、酢酸耐性能測定法(菌体を高濃度酢酸と接触させ生菌数を測定)の改良(酢酸濃度、エネルギー源[エタノール]濃度、反応pH、反応時間等)の検討を行ったが、変異株による顕著な差異を示す測定条件を確立するに至らなかった。
|
Research Products
(1 results)