2020 Fiscal Year Research-status Report
なぜビフィズス菌は腸内に定着できるのか?- 腸内細菌との共生から紐解く生存戦略
Project/Area Number |
20K15438
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 啓太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40756029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 代謝産物 / ビフィズス菌 / 定着 / 感染予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bifidobacterium(ビフィズス菌)はヒト大腸に生息する共生細菌であり宿主の腸内環境の恒常性維持に密接に関わる。しかし,なぜビフィズス菌はヒト腸内に定着することができるのかという疑問に対して不明な点が多い。本研究では,腸内細菌とビフィズス菌の共生関係に着目し,ヒト便培養液からビフィズス菌の腸管定着因子である線毛の発現を誘導する芳香族アミノ酸(AAA)を同定した。さらにAAAは複数の腸内細菌科細菌の増殖を抑制した。すなわち,ビフィズス菌のAAA産生菌との共生は,線毛を介したビフィズス菌の腸内定着を促進し,一方で競合細菌の生育を抑制する興味深い生存戦略が考えられた。以上より本研究では,①AAA産生菌の同定,②AAA産生菌とビフィズス菌のマウス定着モデルを用いたin vivo実験を実施し,ビフィズス菌の腸内定着機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ヒト便からAAAを産生する腸内細菌の同定を行った。腸内細菌培養液のLC-MS分析から,二種類の細菌の代謝産物のリレー反応によりAAAが作られることを見出した。さらにこれらの代謝にかかわる酵素も同定することができた。以上より,本年度の研究は計画通り進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定したAAA産生菌がもつ標的酵素の遺伝子破壊株を作製する。次にこれらの菌株を用いて無菌マウスをモデルとしてビフィズス菌の定着試験及び病原細菌の感染試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に購入予定の一部の物品の納期が大幅に遅れることが予想されたため次年度に購入することとした。実験計画に変更はなく予算は適切に使用する。
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Research Products
(5 results)