2020 Fiscal Year Research-status Report
分割型AkaLucを用いたPPARγリガンドの生体内可視定量化技術の開発
Project/Area Number |
20K15450
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
真野 寛生 富山県立大学, 工学部, 研究員 (20787634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PPARγ / 分割型ルシフェラーゼ / ALuc / バイオセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の合成リガンドは糖尿病、脳梗塞やアルツハイマー病をターゲットに研究が行われている 。特に、PPARγリガンドの体内動態・脳内移行を長期的に調べることは医薬品の副作用の有無を評価する上で極めて重要である。化合物の生体内移行を評価する方法として、ポジトロン断層撮影法(PET)イメージングが用いられるが、化合物を放射性物質で標識するため、本来のPPAR γリガンドの物性が失われることや、弱いながらも被曝を受けるため、安全面に問題があり、継時的な観察や反復測定を行うことができない。そのため、PPARγリガンドを修飾せずに、生体内移行を可視定量的に評価する安全な方法の開発が求められる。これらの問題点を克服する手法の一つに分割型ルシフェラーゼ 法がある。本研究では、分割型ルシフェラーゼ法を用い、PPARγリガンドを検知すると発光が増加するバイオセンサーの構築を目的とする。 当初の計画では、2020年度は分割型ルシフェラーゼに用いるAkaLuc(ALuc)の分割部位の選定および反応性の高いバイオセンサーの構築を行い、次にバイオセンサーに用いるLXXLL配列の最適化に進む予定であったが、ALucの分割部位に関する文献や報告が無いこと、さらに、PPARγのリガンド結合領域(LBD)と相互作用するLXXLLの特定に苦戦することが予想された。そこで、ALucの分割部位の選定から始めるのでは無く、既に報告例が多く発光強度の高いNanoLuciferase(NLuc)を用い、PPARγのLBDと相互作用するLXXLL配列を網羅的にスクリーニングする事に注力した。その結果、PPARγのLBDと相互作用するLXXLL配列の候補をいくつか見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALucの分割部位の選定以外は、想定していた研究計画通りに進んでいる。2020年度中に選抜したLXXLL配列を用いて、ALucの分割部位の選定にも進みたかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、より応答性の高いバイオセンサーへの最適化を行うことに加え、ALucの分割部位の選定を行いたい。一般的に、性質の異なるGly-Gly-Gly-Gly-Ser(GGGGS)リンカーとGlu-Ala-Al a-Ala-Lys(EAAAK)リンカーを複数組み合わせたものをバイオセンサー内に挿入すると リガンドに対する応答性が向上する場合が多い。そこで 、ALucの分割部位、LXXLL配列やLBD断片の各繋ぎ目部分に上述のリンカーペプチドを挿入し、最適化を行う。最適化したバイオセンサーを用い、in vitroスクリーニング系の構築を目指す。最適化後のバイオセンサータンパク質を大腸菌発現系で発現させ、タンパク質の精製を行う。その後、アッセイに必要なタンパク質量、反応液、 操作手順等の条件検討を行い、簡便で高感度かつ短時間にPPARγリガンドの活性評価が可能なハイスループットスクリーニング系の構築を行う 。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、参加予定であった学会が中止になり、旅費が余った事に加え、休業要請等で研究実施期間が少し短くなったため繰り越しが発生したが、2021年度には、高価な発光試薬を行う購入することになるため、使い切ることが予想される。
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