2021 Fiscal Year Annual Research Report
光に安定で且つ代謝されにくいABA受容体アゴニスト/アンタゴニストの構造基盤設計
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20K15456
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹内 純 静岡大学, 農学部, 准教授 (00776320)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アブシシン酸 / 受容体アゴニスト / 光安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アブシシン酸(ABA)は植物の環境ストレス耐性誘導を担っている植物ホルモンであり,長年農業への利用が期待されてきたが,未だその実用化には至っていない。この要因の一つは,ABAの光安定性が低いことであり,これは側鎖ジエン構造のE/Z異性化とシクロヘキセノン環部α,β-不飽和カルボニル基の重合・分解に起因している。そこで本研究では,ABA受容体(PYL)の立体構造に基づいてABAを構造改変することで,これらを出来るだけ取り除いたABAアナログ(BP2Aシリーズ)を設計・合成した。 中でも,側鎖ジエン酸をフェニル酢酸に置換し,α,β-不飽和カルボニル基を還元したMe 1',4'-trans-diol-BP2Aは,UV-Bおよび日光照射下で殆ど分解されることなく,シロイヌナズナの種子発芽や乾燥耐性誘導に対しては高いABA様活性を示した。Me 1',4'-trans-diol-BP2Aの作用機構を追究したところ,この化合物自体はPYLを活性化しないものの,植物体内でPYLアゴニスト(BP2A)に代謝された後にABA活性を示す,プロドラッグとして作用することを明らかにした。また,Me 1',4'-trans-diol-BP2Aは,トマト,レタス,イネといった農作物に対してもABA活性を示し,実用的な農業分野でABA応答を誘導する植物成長調節剤としても機能する可能性を示した。 本研究の成果をまとめて,Photostable Abscisic Acid Agonists with a Geometrically Rigid Cyclized Side ChainとしてJ. Agric. Food Chem (Takeuchi et al. 2022)に発表した。
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