2020 Fiscal Year Research-status Report
新規芳香族求核置換反応を用いる、量供給を可能にしたフラボノイド類の網羅的全合成
Project/Area Number |
20K15468
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
繁田 尭 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00779225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 芳香族求核置換反応 / フラボノイド / カテキン類 / 電子豊富芳香族 / 天然物 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラボノイドは食品に含まれる代表的な化学成分の総称で、現在までにおよそ 2 万種発見されている。しかし多くの希少フラボノイドは研究するにあたって必要な量を得られないことから、機能性が解明されたフラボノイドはごくわずかしかない。一方、数種類のフラボノイドを簡便かつ大量に合成することは難しく、効率的なフラボノイド類合成の手法が求められている。申請者は、開発した新規芳香族求核置換反応を用いることで、電子豊富な芳香環を持つフラボノイド骨格が簡便に構築可能であると考えた。芳香族求核置換反応を経由したフラボノイド合成法は、短工程で骨格を構築できることや、合成中間体の安定性向上が期待できることから、魅力的な合成戦略である。本研究では分子内芳香族求核置換反応を鍵反応に用いることで、種々のフラボノイド類を網羅的に合成する方法を開発する。 令和 2 年度の研究では、フラボノイド合成に使用する各ユニットの合成法を検討した。また開発した新規反応を用いて基本骨格の構築を試み、以下の成果を得た。 1.各ユニットの合成法を検討した。その結果アルコキシ基の置換様式が異なるフッ化ベンゼンの合成法を確立した。またフラバン骨格を持つ化合物の合成で用いるユニットも合成した。 2.エピカテキンに至る環化前駆体を用いて分子内芳香族求核置換反応を行ったところ、開発した芳香族求核置換反応では収率の向上が見られた。現在、置換様式の異なるカテキン類を用いた環化の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和 2 年度は望みの位置に置換基を有するフッ化ベンゼンの合成法が確立できた。これによりフラボノイドの網羅的合成に必要な各ユニットの準備が整った。また既知の合成法に従い調整した環化前駆体を用いてフラバン骨格の構築を試みたところ、開発した芳香族求核置換反応の反応条件で収率よく目的物が得られた。このことから、本研究達成の鍵となる新規反応がフラボノイドの合成に有用であると確認できた。以上の進捗状況は当初設定した研究計画と照らし合わせて、おおむね計画通りであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を完了するために、以下の実験を進める。 1.置換様式の異なる新たなフッ化ベンゼンを用いて、電子豊富な芳香族を有する環化前駆体を合成し、芳香族求核置換反応を用いてフラバン骨格が効率よく合成可能か確認する。 2.環化前駆体に用いる各ユニットの組み合わせを変更し、フラボノイド類の網羅的合成法を達成する。例としていくつかの天然物をターゲットとして合成する。 また、得られた研究成果を取りまとめて学術論文への投稿や学会発表を行う。
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Research Products
(1 results)