2020 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニア肥満改善に向けたスルフォラファンの肝臓及び骨格筋双方向への効果の解明
Project/Area Number |
20K15473
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小高 愛未 東京農業大学, 応用生物科学部, 研究員 (60845890)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | スルフォラファン / SREBP / 脂質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食品成分SFaNがサルコペニア肥満を予防・改善する可能性を検討することを目的とし、①SFaNが転写因子SREBPを介して肝臓での脂質合成を抑制する作用機序の解明と、②SFaNが骨格筋の機能を改善する効果の検討、の2点に取り組んでいる。令和2年度は主に、この目的を達成するために設定した3つのテーマのうち、テーマ<1> SFaNがSREBPを介して脂質合成を低下させるメカニズムの解明と、テーマ<2> SFaNの新規結合分子の同定について取り組んだ。 テーマ<1>では、SFaNによるSREBPタンパク質の分解はユビキチン-プロテアソーム系を介しているかを検証するため、SFaNを肝がん由来細胞Huh-7の培養液に加えて培養し、質量分析にてユビキチン化部位の同定を試みた。その結果候補に上がった部位のアミノ酸を変異させたSREBPタンパク質がSFaNで分解されなくなるか現在確認している。また、SFaNがSREBP以外のタンパク質を分解する可能性を考え、SFaNによってユビキチン化するタンパク質を質量分析にて同定している。さらに、高脂肪食とともにSFaNをマウスに摂取させ、血中及び肝臓中の脂質量が低下するか、体重増加が抑えられるかを検証する動物実験を実施した。その結果、高脂肪食とともにSFaNを与えた群では、高脂肪食のみを摂取させた群よりも体重増加が抑えられた。 テーマ<2>では、SFaNを結合させた化合物ビーズを作製し、Huh-7細胞から抽出したタンパク質溶液と反応させて、ビーズに結合したタンパク質を質量分析にて同定した。その結果、SFaNに結合するタンパク質が多数同定された。現在、同定されたタンパク質をHEK293細胞に過剰発現させ、実際にSFaNを結合させた化合物ビーズに結合するか確認している。また、テーマ<2>で取り組んだ結果を学会にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的を達成するために設定した3つのテーマのうち2つを進めることができていることから、おおむね順調と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
テーマ<1>では、SFaNによるSREBPの分解に重要なユビキチン化部位の同定を進める。SREBPの分解機構とともにその他のタンパク質の分解機構の繋がりを検証し、それらが脂質合成をどのように抑制するかの解明に繋げる。 また、高脂肪食とともにSFaNをマウスに摂取させた動物実験の際に摘出したマウスの骨格筋の筋量や筋繊維の太さなどを測定し、SFaNの骨格筋への効果を検証する。血中及び肝臓中の脂質量も測定し、SFaNの脂質合成と骨格筋双方への効果を確認する。 テーマ<2>では、実際にSFaNを結合させた化合物ビーズへの結合が確認できたタンパク質に関して、SFaNとの結合様式やそのタンパク質が脂質合成抑制機構にどのように関わっているか検証する。また、テーマ<1>で明らかになったSREBPの分解機構との共通する部分があるか検討する。
|
Causes of Carryover |
購入予定だったものが代替品で安価に済んだ等の理由で次年度使用額が生じた。翌年度請求額は、脂質合成制御の解析と合わせて、骨格筋の解析に必要な試薬や機器の購入に使用する。
|
Research Products
(1 results)