2020 Fiscal Year Research-status Report
リンゴによるビタミンC吸収増強のメカニズム解明と新規機能性の探索
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20K15482
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
舘花 春佳 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (30805809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンゴ / ビタミンC / アスコルビン酸 / SVCT1 / Caco-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンCの吸収は、 sodium-dependent vitamin C transporter 1(SVCT1)という輸送体が担っている。この輸送体を介したビタミンCの吸収増強の方法についてはほとんど報告されていない。一方で、申請者らの予備的研究によりリンゴがビタミンCの吸収増強作用を有している可能性が高いことが明らかとなっている。そこで、本研究ではリンゴ果汁中の特定の成分が、小腸のビタミンC輸送体を発現させ、体内保持に寄与するという仮説のもとメカニズム解明と関与成分の探索を行うこととした。 初年度は、ビタミンC合成能欠如モデルラットにリンゴ果汁を摂取させ、ラットの血漿及び尿中のビタミンC濃度、ならびに組織中のビタミンC蓄積量を測定して、ビタミンCの吸収増強作用の有無を検討した。さらにラットの小腸を用いて、リンゴ果汁摂取の有無によるビタミンCの吸収量とSVCT1タンパク質の発現差を調べた。結果として、2%濃度のリンゴ果汁を摂取したラットにおいて血漿と臓器へのビタミンC蓄積、小腸でのビタミンC吸収ならびに小腸細胞内へのビタミンCの蓄積が増強することが分かった。さらにSVCT1タンパク質発現量においても、リンゴ果汁の摂取により発現量が増加傾向となることが明らかになった。 ラット小腸におけるビタミンC取り込み増強へのSVCT1タンパク質発現の関与が示唆されたことから、培養細胞においてもリンゴ果汁の添加がSVCT1タンパク質発現に影響を与えるかどうか、並行して検討を行った。現在までの検討により、ヒト小腸モデル培養細胞であるCaco-2において、リンゴ果汁は細胞傷害性を示すことなく比較的高濃度(~1 mM)のビタミンCの吸収を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンゴ果汁摂取の有無によるビタミンCの体内保持量ならびにSVCT1の発現量への影響に関して、当初の予定通り動物実験を実施し、ラット体内のビタミンC蓄積量ならびにSVCT1発現量増加にリンゴ果汁が寄与していることを明らかにした。また、培養細胞を用いた検討に関しても、ほぼ予定通り条件検討を完了し、ビタミンC吸収量とSVCT1発現量への影響の検討が進行中である。以上の理由から、初年度はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、ヒト小腸モデル培養細胞にリンゴ果汁を投与することで、培養細胞のビタミンC吸収量ならびにSVCT1発現量に影響を及ぼすのか、検討を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に関連し必要試薬の納品に遅れが生じ、令和2年度内の納品が困難となったため、一部を令和3年度に購入することとした。
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