2021 Fiscal Year Research-status Report
化学プローブを利用したプロアントシアニジンの高感度分析法に関する研究
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20K15483
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩岡 裕二 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (10835416)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロアントシアニジン / プロアントシアニジン-タンパク質複合体 / 電気泳動 / Nitroblue tetrazolium染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
(+)-CatechinなどのFlavan 3-ol化合物が重合した構造を持つプロアントシアニジン(PAC)はそのイオン化効率の低さからHPLC-MSなどの機器分析における検出感度が極めて低いため、食品中や血中のPACの定量は困難な場合が多い。昨年度までにHPLC-MS等におけるPACの検出感度の向上を狙って4-Dimethylaminocinnamaldehyde や5-(4,6-Dichlorotriaznyl)aminofluoresceinによるPACの誘導体化を試みたが、有効な検出法の手がかりを得ることができなかった。そこで、PACが血中タンパク質と複合体化することに着目し、電気泳動法により血中タンパク質とPACの複合体を検出することでより高感度なPACの検出が可能ではないかと考えた。ヒトの血中主要タンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA)と(+)-Catechin, (-)-Epigallocatechin gallate, Procyanidin B2およびピーナッツ種皮由来PAC6量体(PAC hexamer)をそれぞれ混和し、インキュベート(pH 7, 37℃, 24 h)した。これらをNative PAGEに供し、ポリフェノール結合タンパク質に特異性のあるNitroblue tetrazolium (NBT)染色を行った。その結果、いずれのサンプルにおいてもHSAとの複合体らしきバンドを検出した。また、PAC hexamerにおいては原点に停滞する複合体のバンドが見られたため、より高分子タンパクの分離が可能なアガロースゲル電気泳動に供したところ、原点からのバンドの移動を確認した。以上からNative PAGEおよびアガロースゲル電気泳動後にNBT染色を行うことでPACと血中タンパク質の複合体を検出する条件を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気泳動によりPACと血中タンパク質複合体の検出条件を見出したが、当初の予定であるPAC経口投与後の動物の血中移行性の検討に取り組めていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見からPACの吸収性は極めて低いことが予想される。従って、最終的な目標であるPACの血中移行性を確かめるためには少しでも検出感度を上げ、微量のPACを見落とさないようにする必要がある。特に電気泳動に供するサンプルの濃縮が重要であると考える。濃縮の方法としては、限外ろ過、凍結乾燥の他にクロマトグラフィーによるPAC結合タンパク質の精製なども検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより物品の購入などが計画通り行われなかったため。持ち越し予算は試薬等の消耗品類に充てる予定である。
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