抗炎症効果を有する新規リゾチーム由来ペプチドの探索および作用機構の解明

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K15490
• Research Institution: Niihama National College of Technology
• Principal Investigator: 田頭 歩佳 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 助教 (40847282)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: リゾチーム / ペプチド / RAW264.7 / 炎症性サイトカイン

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、トリプシン処理によって得られたリゾチームの分解断片中に含まれる活性ペプチドおよびその配列を特定し、その作用メカニズムの解明を目的としている。本年度は、活性が認められた画分に含まれたオリゴペプチドが炎症状態のマクロファージに与える影響を検討した。
これまでの検討において、トリプシン処理によって得られたリゾチーム分解断片の画分中で、活性が認められた画分に３種類のオリゴペプチドが含まれていることが明らかとなった。そのため、これらのオリゴペプチドを外注し、炎症状態に誘導したマクロファージ様細胞株RAW２６４．７に与える影響を検討した。ELISA法を用いて、炎症性サイトカインであるインターロイキン（IL)－６および腫瘍性壊死因子－α（tumor necrosis factor－α；TNF－α）産生量を測定したところ、３つのオリゴペプチドのうち、２つのオリゴペプチドにおいて、TNF－α産生は効果がみられなかったが、IL－６産生の抑制傾向が認められた。しかし、顕著な効果とは言えないため、添加濃度や刺激時間、また同時添加による効果など、条件検討の見直しを行い、検討を進めている。また、上記の条件検討により一時中断していたが、先行研究において報告されているアミノ酸配列が既知であるリゾチーム由来、またはその他の食品由来である機能性ペプチドの新規機能性に関する検討として、抗炎症作用を再開する予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度の研究実施計画として、前年度に得られた結果を基に、活性が認められた画分に含まれたオリゴペプチドによる抗炎症効果の作用機序についての検討を行った。その結果、３種類のオリゴペプチドのうち、２種類のオリゴペプチドにおいて、炎症性サイトカインの１つであるIL－６の産生抑制傾向がみられた。しかし、顕著な効果とは言えないものであり、添加濃度や刺激時間等の条件検討に時間を要してしまい、現在継続中である。

Strategy for Future Research Activity

本年度の実験計画で達成できなかった項目を重点的に進めていくとともに、最終年度としてこれまでの結果をまとめていく予定である。

Causes of Carryover

（理由）実験条件の見直しにより当初の予定から遅れており、また、動物実験に移行することができなかったこともあり、今年度の費用を抑えることが出来た。
（使用計画）次年度では、オリゴペプチドの再度外注予定しており、前回より濃度を高めるため多額の出費が考えられ、更に別のペプチド購入予定しているため、繰越額はこれら購入費用に充てる予定である。