2020 Fiscal Year Research-status Report
植物ウイルス複製装置の分子解剖を基盤とした複製システムの包括的解析
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20K15495
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 哲也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (00809874)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物ウイルス / トバモウイルス / 複製 / 試験管内翻訳複製系 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ウイルスは一般に、宿主細胞内において、ウイルス複製タンパク質、ウイルスゲノムRNA、宿主因子等からなる複製複合体を形成し、この内部で新生RNAを複製することが知られている。世界的に大きな被害をもたらす植物プラス鎖RNAウイルスであるトバモウイルスは、複製に先立ちpre-membrane-targeting complex (PMTC)と呼ばれる複製タンパク質とゲノムRNAを含むリボヌクレオプロテイン複合体を形成すること、PMTCは宿主生体膜に結合し成熟した複製複合体を形成すること、複製タンパク質が翻訳と共役してウイルスゲノムRNAに結合することでPMTCが形成されることがこれまでに示されている。本研究では、PMTCの形成メカニズムをより詳細に解析し、複製を標的としたウイルス防除に資する知見を得ることを目指す。 今年度は、PMTC形成に重要なRNAモチーフを明らかにすることを目的として解析を行った。トバモウイルスのゲノムRNAを基に設計した様々な配列のRNA断片を添加した際に、トバモウイルスRNAと複製タンパク質断片の間の相互作用が影響を受けるか調べた。その結果、様々なRNA断片が異なる程度で当該相互作用に影響を与えることを見出し、複製タンパク質の鋳型RNA認識に重要なRNAモチーフに関する知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トバモウイルスRNA-複製タンパク質間相互作用に影響を与える様々なRNA断片を見出し、PMTC形成に重要なRNAモチーフに関する知見を得ることができたため、順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くのRNA断片を用いてウイルスRNA-複製タンパク質間相互作用に与える影響を調べることで、PMTC形成に重要なRNAモチーフをより詳細に明らかにする。また、同定したRNAモチーフに変異を導入した際に、各複製過程にどのような影響が生じるか等を解析することで、ウイルス複製機構の詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた生化学実験系の構築を当初の想定より順調に実施できたため。また、消耗品類が当初計画より安価に購入できたため。次年度は、今年度確立した実験系を利用した生化学実験等に使用する予定である。
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