2022 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ栽培イネ特異的な高温ストレス耐性のゲノムワイド解析とGWASカタログ構築
Project/Area Number |
20K15503
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古田 智敬 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (70774008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イネ / GWAS / QTL / 有用農業形質 / 解析パイプライン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度までに行ったアフリカ栽培イネ「グラベリマ」の品種群における農業形質調査のデータをもとに、品種群の遺伝子型との関連性をゲノムワイド関連解析(GWAS)による有用農業形質遺伝子座の探索を実施した。本年度は、GWASの結果を効率的にまとめて図示するとともに、有用農業形質遺伝子座の候補領域に座乗し、かつDNA配列多型を有する遺伝子をリスト化・カタログ化する解析パイプラインを構築した。GWASの解析結果は、数十万から数百万個のDNA配列多型サイト毎に計算された膨大な数の統計値データである。そこから候補遺伝子を絞り込む作業は用意ではなく、データ解析に不慣れな研究者にとって非常に時間を要するとともに見落としなどミスが起こる可能性を孕んでいる。本GWAS解析パイプラインは、候補遺伝子の遺伝子IDのみならず膨大なゲノム情報データから当該遺伝子に関する情報を紐付け、候補遺伝子探索の効率化に貢献する。解析パイプラインは、Rのパッケージとして開発しており、公開・配布の準備を進めている。 農業形質に対するGWASの結果、グラベリマ品種群は各品種の栽培地域ごとに遺伝子型および表現型が偏っているためGWASでの有用遺伝子探索が難しい可能性が示唆された。しかしいながら、短日条件下での開花日数や深水条件下での茎伸長など、通常の栽培条件にはない特殊な環境に対する応答についてはいくつかの候補遺伝子座が同定された。また、グラベリマの染色体断片をアジア栽培イネ「サティバ」のゲノム背景に持つ染色体断片置換系統群において、高温ストレス下における種子稔性の低下が緩和される系統を見出した。今後、高温ストレス耐性遺伝子の単離を目指しさらなる遺伝解析を進める。
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