2023 Fiscal Year Annual Research Report
水稲のシンク活性に関する新規遺伝領域の同定と登熟生理メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K15511
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岡村 昌樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (00757908)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イネ / 登熟 / シンク活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではシンク活性に関わる新規QTL(qGFR10)のファインマッピングを進め、原因遺伝子の単離を目指した。さらにqGFR10に関するモミロマン背景の準同質遺伝子系統(NIL)の作出・評価を行うことで、その生理的機能を解明し、シンク活性の改善が収量やソース能に与える影響を明らかにすることを目的とした。これにより登熟を制御するバイオマーカーや遺伝マーカーが開発されるとともに、シンク活性の実態把握を通して登熟の生理メカニズムの一端が解明される。同時に既存品種のqGFR10の原因遺伝子の多型情報とそれら品種の登熟特性を調査し、登熟能力やシンク活性の品種間遺伝変異とその分布を整理する。 R4年度までに、qGFR10の候補領域約2Mb持つNILを作出した。R5年度はこのNILとモミロマンの大規模栽培試験を行い、収量と登熟関連形質を調査した。しかし、NILでは茎部NSCの転流量が多い傾向があったものの、収量や登熟歩合に明確な差は見られなかった。またNILは出穂が6日ほど早まったおり、このことが収量に影響した可能性も考えられた。 一方で、ヘテロ集団を用いた解析により、候補領域をさらに絞ることにも成功した。研究期間終了後シンク活性を高めるQTLと出穂を早めるQTLが分離できるか検証し、qGFR10が登熟関連形質に与える影響をより詳細に検討していく予定である。
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