2020 Fiscal Year Research-status Report
イチゴの超多収性品種育成を目指した根の発生制御機構の解明
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20K15514
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
望月 佑哉 茨城大学, 農学部, 助教 (30805007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イチゴ / 根 / 発生 / 品種間差 / 低温 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,暖房コスト削減等の理由によりイチゴの収穫量が減少している.十分な収量が確保されるような超多収品種の育成が必要である.研究代表者はイチゴの収量の大小には,厳寒期でも根の発生の停滞が起きない特性が重要であることを明らかにしてきた.しかし,生育時期や環境に特異的な根の発生機構についてはこれまでに知見がない.そこで令和2年度は,低温条件下で栽培した根からRNAを抽出するために,根にストレスがかからず低温処理した音を採取可能な栽培条件の検討を行った.まず初めに,組織培養条件の検討を行った.培地には①MS液体培地,②MS液体培地+バーミキュライト,③MS液体培地+バーミキュライト+パーライト,④固形培地(MS+0.2%ゲルライト)を用い,圃場で栽培した親株から発生した子株を採取し,洗浄後に各培地に置床した.その結果,MS+バーミキュライトまたはバーミキュライト+パーライトが発根が良く,根の観察ができることが分かった.しかしながら,調査期間が長くなると根およびクラウン部周辺にカビの発生が認められたため,根にストレスがかかりRNA-seq解析へ悪影響があると判断した.従って,より根へストレスがかからないような栽培条件を検討するため,水耕栽培を試みたところ,低温条件下でも栽培できることが分かり,根の観察も容易であることがわかった.そこで,数品種を水耕栽培したところ,これまで得られた知見(多収性品種の細根の発生が多い)と同様の傾向が得られたため,次年度以降はこの栽培条件で栽培をし,RNA-seqにとりかかる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栽培条件の検討に想定していた以上の時間を費やしてしまったこと,またコロナウイルス感染症対策による大学への入校規制もあったことから,予定していた当該年度でのRNA-seqまでたどり着けなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,確立した条件で栽培を行い,低温条件下での根の発生特性の品種間差を得る.次いで,低温条件下で栽培した根からRNAを抽出し,トランスクリプトーム解析と低温下で根が伸長する原因候補遺伝子のスクリーニングを行う.次いで,実際の栽培環境下で得た根部のRNAを用いてリアルタイムPCRにより候補遺伝子群の発現解析を行い,超多収品種育成のための新たな選抜指標を得ることを目的とする.
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Causes of Carryover |
令和2年度に配分された予算の大部分は,次世代シーケンサー外注費であった.しかしながら,RNAの抽出まで至らなかったため.次年度に外注を行うために使用する.
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