2022 Fiscal Year Annual Research Report
イチゴの超多収性品種育成を目指した根の発生制御機構の解明
Project/Area Number |
20K15514
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
望月 佑哉 茨城大学, 農学部, 講師 (30805007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イチゴ / 根 / 発生 / 品種間差 / 低温 / 可視化 / モニタリング / 多収性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本におけるイチゴの栽培面積は高齢化による廃業,石油価格の高騰などが原因で減少し続けている.これらの背景から,イチゴ果実を持続的に生産するためには,低温環境下でも収量の落ち込まない多収性品種を育成することが必要である.そこで,イチゴ多収性品種‘紅ほっぺ’の根量増加のメカニズムを解明することを目的に本研究を行った.多収性品種‘紅ほっぺ’と対象品種‘さちのか’を低温処理(15℃/5℃)と非低温環境(25℃/15℃),12時間日長の条件で水耕栽培し,処理日数3,7,14日後にそれぞれサンプリングを行い,根からRNAを抽出し,トランスクリプトーム解析を行った.その結果,低温で根やシュートで発現するCRF4や非生物的ストレスで誘導されるERF1の発現が‘紅ほっぺ’では‘さちのか’よりも緩やかに増加したことから,‘紅ほっぺ’は低温に対しての応答が緩慢であると考えられた.また,低温耐性抑制に関与するDEAR1の発現が‘紅ほっぺ’は低温環境で0日目と比較して低下していたことから,‘紅ほっぺ’は低温耐性獲得に有利であると考えられた.一方,‘紅ほっぺ’では‘さちのか’よりも根の発生を抑制するERF13やERF115,根の伸長を抑制するMYC2の発現が低かった.また,低温環境下において0日目と比較して根の発生に関与するARF1遺伝子の発現が高かった.これらのことから,‘紅ほっぺ’は‘さちのか’と比較して一次根や側根の発達が早く,低温においても根量を増やすことに優れていると考えられた.
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Research Products
(3 results)