2020 Fiscal Year Research-status Report
種子休眠との関連性から紐解く、ナシの芽の自発休眠機構の解明
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20K15519
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹村 圭弘 鳥取大学, 農学部, 講師 (70731545)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 休眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
芽の低温要求性が後代の種子の低温要求性に及ぼす影響について調査するとともに、種子休眠機構に関与する遺伝子の網羅的解析を行った。成熟期が同じ系統については親の低温要求性が種子の休眠深度に影響を及ぼすことが示唆された。一方、成熟期が異なる品種間では、その早晩が種子の休眠深度に影響を及ぼすものと考えられた。 種子休眠の維持・打破に関与する遺伝子の探索を目的に、「0w区」と「2w区」の種子サンプルからtotal RNAを抽出し、トランスクリプトーム解析による網羅的解析を行った。解析を行った結果、1サンプル当たり約4.56Gbのクリーンリードが得られた。平均72.30%のリードがマッピングされており、各サンプルのマッピング結果の均一性からサンプルの比較が可能であることが示唆された。 選抜された遺伝子の中には、ABA合成の律速酵素をコードするNCED遺伝子やABAの不活性化酵素として報告されているabscisic acid 8'-hydroxylaseなどが確認された。さらに、gibberellin 20 oxidaseとgibberellin 3-beta- dioxygenase、ジベレリンの不活性化に関与するgibberellin 2-beta-dioxygenaseやABA応答性遺伝子発現を誘導する下流の転写因子であるABSCISIC ACID-INSENSITIVE 5などの遺伝子は低温処理後に発現量が低下していたことから、ニホンナシにおいても種子休眠の維持にはABA含量の増加が、種子休眠打破もしくは種子発芽にはGA含量の増加が重要な役割を担っていることが示唆され、芽の自発休眠機構との類似性も推察された。一方、芽の休眠打破期におけるGA合成の時期はやや異なることが推察され、それぞれの休眠制御には独自の経路が存在している可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発休眠の低温要求性が種子休眠の低温要求性に及ぼす影響を評価することができ、種子休眠関連遺伝子の網羅的解析も計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
選抜された遺伝子について、各系統の種子および芽での低温遭遇に伴う発現量の変動について解析し、両休眠機構の関連性ならびに低温要求性の多少の決定に関与する遺伝子の特定を試みる。
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