2021 Fiscal Year Research-status Report
種子休眠との関連性から紐解く、ナシの芽の自発休眠機構の解明
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20K15519
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹村 圭弘 鳥取大学, 農学部, 准教授 (70731545)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 休眠 / ナシ |
Outline of Annual Research Achievements |
交配に用いる親品種の芽の低温要求性と収穫期の早晩性の違いが後代の種子の低温要求性に与える影響を評価した。交配には少低温要求性(CU)・晩生の「類産」、多CU・晩生の「王秋」、少CU・中生の「豊水」を用いた。長十郎との正逆交雑を行った後、評価に十分な種子が得られたものを用いた。8週間の低温処理を行った後、インキュベータで加温後3週目の発芽率を評価した。親品種として豊水や類産を用いて得られた種子の発芽率は40%以上であった。一方、王秋から得られた種子の発芽率は何れも10%以下の低い値を示した。これらのことから、育種親の芽の低温要求量が少なく、より早生であるほど後代の種子の低温要求量が少なくなることが示唆された。 併せて、種子休眠の打破前後で行ったトランスクリプトーム解析により選抜された遺伝子についての発現解析を行った。発現解析は、種子の休眠打破に関与していると考えられるエチレン反応性転写因子RAP2と高い相同性を示す3種の遺伝子について行った。種子における同遺伝子の発現量を比較した結果、早生品種の新水の種子に比べ晩生品種の王秋の種子における発現量は高かった。また、低温処理前後の発現量の比較を行った結果、低温処理4週間後の発現量の低下が確認された。一方、葉芽における同遺伝子の発現量は、王秋に比べ新水で高い値を示した。以上の結果、同遺伝子は種子と芽で異なった発現パターンを示し、両休眠に共通して与える影響は少ないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発休眠の低温要求性が種子休眠の低温要求性に及ぼす影響を評価することができ、種子休眠関連遺伝子の網羅的解析も計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
選抜された遺伝子について、各系統の種子および芽での低温遭遇に伴う発現量の変動について解析し、両休眠機構の関連性ならびに低温要求性の多少の決定に関与する遺伝子の特定を試みる。
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Causes of Carryover |
物品費が当初予定額より、やや安くなったため残額が生じたが、次年度へ繰り越しをし消耗品費に計上したい。
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