エフェクターの網羅的局在解析を通じた植物病原細菌の感染機構の研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K15527
• Research Institution: Fukushima University
• Principal Investigator: 岡野 夕香里 福島大学, 食農学類, 准教授 (90734872)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: イメージング質量分析

Outline of Annual Research Achievements

今年度は、イメージング質量分析のための切片作成法の検討、イメージング質量分析の条件検討および植物のサンプリング条件の検討を行った。まずは健全なシロイヌナズナなどのアブラナ科植物やナス科植物などを用いて、葉の水平面や垂直面の切片を作成し、イメージング質量分析に適した切片作成方法の条件検討を行い、最適な方法を決定した。水平面を検出する際は、葉をスライドグラスに貼り付ける際に工夫が必要であることが分かった。一方で、細菌やウイルス、糸状菌などの各種植物病原体を入手し、宿主植物への接種条件の検討を行い、接種系の確立を行った。続いて、健全植物において、タンパク質のイメージング質量分析を行ったところ、蓄積量が多いタンパク質でも検出されるシグナルが低かった。これはタンパク質が高分子量であることに起因すると考えられた。したがって、切片に対してさらにタンパク質分解などの処理をして、断片化する必要があることが明らかとなった。そこで、まずは低分子量の物質の局在を解析する系を確立することとし、植物が備える抵抗性機構のシグナリングに関与する植物ホルモン（サリチル酸）をターゲットとすることとした。そこで、標準品のサリチル酸を用い、超高速液体クロマトグラフィーによる検出系の確立を行い、検量線を作成した。次に、植物ウイルスを接種した植物からサリチル酸を抽出し、最適な接種後日数を決定した。今後、明らかとなった最適条件に従い、イメージング質量分析を行う予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルスの流行とそれに伴う緊急事態宣言の発出により、実験材料の入手および実験機器の整備に時間がかかったため。

Strategy for Future Research Activity

サリチル酸のイメージング質量分析を行うともに、タンパク質のイメージング質量分析のため、切片へのタンパク質分解酵素処理条件の検討を行う。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの流行とそれに伴う緊急事態宣言の発出により、実験材料の入手および実験機器の整備に時間がかかり、実質的な実験時間が予定していたよりも短かったため。