2022 Fiscal Year Annual Research Report
エフェクターの網羅的局在解析を通じた植物病原細菌の感染機構の研究
Project/Area Number |
20K15527
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
岡野 夕香里 福島大学, 食農学類, 准教授 (90734872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イメージング質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4度は、タバコが植物病原細菌であるXanthomonas属菌の接種時に起こす、抵抗性様の反応について詳細に解析を行い、サリチル酸のイメージング質量分析を行った。まず、抵抗性様の反応について、Xanthomonas属菌をタバコに注入接種したところ、接種部位の黄色から褐色への変色が見られ、DAB染色液およびトリパンブルー染色すると接種部位で染色が観察された。したがって、接種により過酸化水素の生成と細胞死が生じていることが示された。これにより、Xanthomonas属菌によって抵抗性反応の一種である過敏感反応(HR)に類似した反応が起こっていることが示唆された。また、接種部位でタバコのPR1aおよびPR5遺伝子のmRNA量をリアルタイムRT-PCRにより定量した。その結果、Xanthomonas属菌の注入部位では、これらの遺伝子の発現が有意に上昇した。また、上位葉でも両遺伝子の発現が有意に上昇した。よって、Xanthomonas属菌が誘導するHR様反応の際にタバコのサリチル酸応答性の防御関連遺伝子が誘導され、全身獲得抵抗性も誘導されることが示唆された。次に、タバコにXanthomonas属菌の接種をした際のサリチル酸の分布状態を明らかにするため、接種葉を用いてイメージング質量分析を行った。その結果、接種部位とその周辺の部位では、周辺の部位の方がサリチル酸のシグナルが強く検出された。周辺部位でのサリチル酸の分布に明らかな局在性は無く、一様にサリチル酸の蓄積量が増加することが明らかとなった。
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