2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of stress responses mediated by cell wall glycosylation in fungal plant pathogen
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20K15529
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小玉 紗代 摂南大学, 農学部, 助教 (10824039)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植物病原糸状菌 / 病原性 / 細胞壁 / ストレス応答 / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウリ科植物に感染する炭疽病菌のタンパク質糖鎖修飾機構および感染時の細胞壁ストレス応答と病原性との関係性を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の研究を実施した。 1. CoPap2の細胞壁糖鎖修飾への関与の評価:糖鎖修飾関連因子CoPap2の脂質リン酸結合モチーフをアミノ酸点変異させた変異型CoPap2(R78A, H93A)を構築した。R78A, H93A導入株はcopap2破壊株と同様に病原性欠損となり、脂質リン酸結合モチーフがCoPap2の病原性における機能に必要であり、CoPap2は脂質脱リン酸化酵素として機能することが示唆された。また、蛍光タンパク質付加によりCoPap2と糖鎖修飾が行われる小胞体の細胞局在性を検討し、CoPap2が栄養菌糸生育時および感染器官形成時に小胞体膜で機能することを明らかにした。 2. WSC遺伝子破壊が細胞壁完全性および病原性へ与える影響の評価:細胞壁ストレスセンサーCoWSC1, CoWSC2およびトランスクリプトーム解析によりCoPap2制御下にある可能性が示唆された推定細胞壁構成成分CoWSC3, CoWSC4, CoWSC5, CoWSC6を同定し、遺伝子破壊株を作出した。cowsc1破壊株は細胞壁ストレスに対する感受性が増大し、病原性がやや低下した一方、cowsc2, cowsc3, cowsc4, cowsc5, cowsc6破壊株は顕著な表現型を示さなかったことから、ウリ類炭疽病菌の細胞壁完全性および病原性にはCoPAP2 >CoWSC1 >CoWSC2, CoWSC3, CoWSC4, CoWSC5, CoWSC6の順番で寄与の度合いが高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では1.CoPap2が細胞壁糖鎖修飾に関与する根拠を強固にすること、および2.ウリ類炭疽病菌のCell Wall Integrityシグナル伝達経路因子と細胞壁ストレス応答との関与を評価することを予定していた。CoPap2の脂質リン酸結合モチーフの重要性およびCoPap2の細胞内局在性から糖鎖修飾との関係性がより明確になり、WSC遺伝子破壊実験により細胞壁ストレスへの応答と病原性の評価が完了したことから、現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
CoPap2が細胞壁完全性に与える影響を評価するために、copap2破壊株の細胞壁構造を蛍光標識および電子顕微鏡観察により詳細に観察する。出芽酵母へのCoPap2機能相補実験による糖鎖修飾への関与の検討については、CoPap2導入コンストラクト構築は完了しており、今後破壊株を作出しCoPap2導入を試みる。また、蛍光タンパク質付加によりWSCの細胞局在性を評価し、WSCの機能部位推定およびCoPap2を介した糖鎖修飾と細胞壁ストレス応答性との関係性を検討する。ネイティブプロモーター制御下ではいずれのWSCも蛍光が見られなかったため、恒常発現プロモーター導入コンストラクトを構築する。ウェスタンブロットによるCWIシグナル伝達経路因子の活性と細胞壁ストレス応答性の評価にも着手する。
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しにより、当該年度に予定されていた電子顕微鏡解析を次年度に延期したため、繰越金が生じた。次年度、研究の進展状況に応じて消耗品代とその他経費に繰越金を充てる予定である。
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