2022 Fiscal Year Annual Research Report
食虫植物に内生する真菌を用いた農薬リード化合物の探索
Project/Area Number |
20K15531
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 一成 北里大学, 大村智記念研究所, 助手 (90760075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | P.oryzae / 食虫植物由来糸状菌 / 抗植物病原菌 / 殺菌剤 / 環境毒性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は天然物由来とくに食虫植物由来微生物を探索源として植物病原菌に対して抗菌物質を生産している微生物を探索し、抗菌物質を取得することを目的としている。また、昨今EUをはじめ各国で問題視されている環境に対する毒性試験評価を抗菌物質単離前から行うことで今後農薬として活用できる可能性が高い化合物を優先して精製できると考えた。 初年度、当初の予定では八丈島に自生しているモウセンゴケから糸状菌を分離して様々な植物病原菌に対して評価する予定であったが八丈島へのサンプリングが困難であったため以前採取したモウセンゴケから糸状菌を分離した。真菌類46株を分離し、3株は真菌のバーコード領域であるITS領域のDNA相同値が新種の可能性がある95%以下を示した。2年目では分離した糸状菌および北里大学が保有する微生物ライブラリーを植物病原菌であるP.oryzaeを用いて抗菌活性評価を行った。環境毒性試験として緑藻類であるD.subspicatusに対しての毒性試験を構築し、抗菌活性を示したサンプルに対して評価を行った。その結果、糸状菌1サンプル、放線菌3サンプルを選択した。最終年度では選択した4サンプルの精製を行った。精製した結果、糸状菌からはhymeglusin、放線菌3サンプルからはantimycin類をそれぞれ単離した。Antimycin類のうちantimycin A1に類似した構造を示したK20-0016 H1化合物がP.oryzaeに対してMIC:0.0078ug/mLであった。Antimycin類はミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅲを阻害することで抗真菌作用を示すことが知られている。一方、hymeglusinはP.oryzaeに対して8ug/mLと弱いながら抗菌活性を示した。Hymeglusinは今までの知見でメバロン酸系路上のHMG-CoA synthaseに対する阻害剤として知られている。
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