2020 Fiscal Year Research-status Report
環境DNAによる特定外来生物の分布状況と繁殖生態を把握する手法の確立
Project/Area Number |
20K15540
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西澤 彩 (山崎彩) 北海道大学, 水産科学研究院, 学術研究員 (90840372)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境DNA / アメリカナマズ / 特定外来種 / 利根川水系 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に利根川水系に分布する特定外来生物のチャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusは,現在も関東を中心に分布を広げており,本水系とその周辺における分布状況は把握できていない。初年度は本種の利根川水系における分布域を特定することを目的とし,利根川水系およびその周辺において採水,環境調査を実施し,ろ物からチャネルキャットフィッシュの環境DNAが検出されるかを定量PCRを用いて分析した。なお,初年度は新型コロナウイルス感染症拡大のため,調査地へ赴くことが難しかった。そのため,研究室に保管してあった利根川水系で過去に採水したサンプルを用いて解析を行い,不足している地点における調査は現地研究者の協力により実施し,採水サンプルを郵送してもらうことで解決した。霞ヶ浦や北浦,利根川など従来生息が確認されていた地域においては多くの地点で本種の環境DNAが検出された。本種の環境DNA濃度は利根川水系の下流域で高く,山合いの上流側ではほとんど検出されなかった。また,繁殖期に採水した調査地点のうち,霞ヶ浦および北浦上流側で非常に高濃度の環境DNAが検出された地点が確認された。これらの環境DNAが繁殖時に放出される生殖細胞由来のDNAである可能性が高く,今後の捕獲調査で検証する必要がある。 なお,これまで分布が報告されていなかった房総半島や伊豆半島においても微量の環境DNAが検出された。少なくとも2018年にはこれらの地域にも僅かながら侵入している可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,調査地へ赴くことができなかった。そのため,研究室に保管してあった過去のサンプルを解析に使用し,不足している地点は現地協力者に依頼し,サンプルを採水して郵送してもらうなど,前期は研究体制の整備に尽力した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も,初年度と同様の方針で調査を実施する。初年度はアメリカナマズの繁殖期以外の時期のサンプリングが主であったため,次年度以降は繁殖期である5ー8月中に集中してサンプリングする予定である。研究成果の発表はオンライン開催の学会等を通じて実施し,初年度に得られた結果をまとめた論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
初年度は新型コロナウイルス感染症拡大のため,調査にかかる旅費の計上がなかった。その代わりに,サンプル郵送代と追加解析のための試薬を購入した。次年度も調査にかかる出張の旅費が減少することが予想されるが,初年度と同様の研究体制を継続する予定である。
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