2022 Fiscal Year Research-status Report
湿性草原の生物多様性保全における耕作放棄地の生態的価値:越冬鳥類を指標とした評価
Project/Area Number |
20K15541
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Research Institution | Iwate Cultual Promotion Agency |
Principal Investigator |
高橋 雅雄 公益財団法人岩手県文化振興事業団(博物館), 学芸第三課, 専門学芸調査員 (10815541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態的価値 / 耕作放棄地 / 湿性草原 / 鳥類 / 絶滅危惧種 / 生物多様性の保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、湿性草原棲の小型鳥類4種(絶滅危惧種2種を含む)を指標として、冬季において、①統一的な基準で耕作放棄地の生態的価値の広域的な評価を試み、②生態的価値が高い耕作放棄地の特徴と成立条件を明らかにするものである。①については、対象4種の全国規模の越冬調査を3冬季で実施し、越冬個体の耕作放棄地の生息割合を地方毎に定量化する。これによって、耕作放棄地の生態的価値を統一的に評価でき、地方間の比較も可能となる。②については、対象4種の越冬が既に確認されている関東地方にて、耕作放棄地の履歴・管理手法・植生構造と、対象4種の越冬状況に関する詳細な情報を収集し、湿性草原棲鳥類の保全において生態的価値が高い耕作放棄地の特徴と成立条件を明らかにする。これらの結果を統合し、耕作放棄地を巡る社会的問題と生物多様性および絶滅危惧鳥類の保全の両立について提言する。 ①耕作放棄地の生態的価値の広域的な評価については、野外調査の実施を予定していた8地方のうち、東北・北陸・近畿・中国・四国の5地方について野外調査を実施し、対象1種の中国・四国地方の越冬状況について鳥類学専門誌に論文を投稿した。また、前年度に投稿していた九州地方の越冬状況についての論文が受理・掲載された。②についてはデータ解析を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①耕作放棄地の生態的価値の広域的な評価については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度は野外調査を実施できなかった。2021年度は東北地方と九州地方で、2022年度は東北・北陸・近畿・中国・四国の5地方で野外調査を実施できたが、特に北陸地方は大雪のため予定の結果を得られず、研究計画の遅れを取り返すまでには至らなかった。 ②生態的価値が高い耕作放棄地の特徴と成立条件の抽出については、データ解析を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で野外調査計画に遅れが生じているため、研究期間の2024年度までの延長を希望する。 2023年度に北陸と琉球列島の2地方にて越冬鳥類の生息調査を実施し、日本全国での越冬鳥類の生息調査を完了する。2024年度にデータ解析を完了し、学会発表および論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、計画していた野外調査を、2020年度は大部分で、2021年度は一部で実施できなかった。その遅れは2022年度で完全に取り返すことができなかったため、不足分の野外調査を2023年度に実施する。
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