2021 Fiscal Year Research-status Report
瀬戸内海の祭りにおける海と地域がつながる文化的空間の本質的価値と継承課題の解明
Project/Area Number |
20K15548
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
大平 和弘 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (90711169)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 祭り / 文化的空間 / 祭祀空間 / 文化財 / 景観 / 瀬戸内海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、瀬戸内海沿岸における海際の祭りを対象とし、①文化的空間の実態と形成メカニズム、②文化的空間と地域との関係性、③文化的空間の本質的価値や継承する上での空間的・社会的課題と保護施策のあり方を考察することを目的とする。 当該年度は、文化的空間を伴う祭りの実態と形成メカニズムに関し、徳島県、岡山県の海際に位置する市町村の祭りについて、文化財部局等の公開データ、および一部ヒアリングにより祭りの実態と文化的空間と地形・立地環境・土地利用などとの関係について調査を行った。その結果、2020年度に調査を行った大阪府、兵庫県の事例と同様、祭りの種類については、「獅子舞、盆踊り、鬼追い、舞、屋台巡行、行列、念仏、だんじり、厄除・参詣、船渡御、田植え、火祭り、弓、神輿渡御、その他」の15種に分類できた。一方、文化的空間タイプは「A.神社境内タイプ、B.寺境内タイプ、C.神社巡行タイプ、D.広場タイプ、E.街路タイプ、F.水辺タイプ」の6タイプとなったが、大阪府・兵庫県の事例に比べ、文化的空間タイプの分布状況に広域的な地域的偏在性が認められず、D.広場タイプ、E.街路タイプなどの文化的空間タイプが少ないなどの特徴が得られた。このことから、未だ明らかとなっていない文化的空間の成立条件やメカニズムに関し、祭りの伝播、立地や周辺土地利用などが選択される文化的空間タイプに大きな影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
全国的な新型コロナウイルスの蔓延により、現地調査予定であった全ての祭りが中止、あるいは観覧不可の対応となったことや、蔓延防止等重点措置などによる出張制限により、祭り自体の記録と文化的空間の発生状況の現地調査、文化的空間に関わるヒアリング調査が実施できず、既存の祭りの記録データや、地図情報等を中心に文化的空間の分類や地域との関係の考察を行うこととなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き現地調査を伴わなくとも把握できる手法にて、瀬戸内海沿岸市町村の事例収集とその分類のエリアを拡大するとともに、感染対策の緩和により再開された祭りについては、随時祭りの映像記録と文化的空間の発生領域の描画、ヒアリング調査へスムーズに移行するための下準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延による研究対象である祭りの中止や出張自粛により、現地調査にかかわる旅費、および現地調査の記録等に供する物品費の執行が叶わなかったため。 2022年度は、感染対策緩和により再開された祭りの現地調査の実施やヒアリング等に関わる旅費、現地調査や分析に供する物品購入費、これまでの既存取得データの整理・分析等に関わる人件費等にあてがう予定である。
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