2021 Fiscal Year Research-status Report
グリーンインフラとしての屋上菜園における生態系サービスの定量化と都市計画への展開
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20K15549
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
原田 芳樹 中央大学, 理工学部, 助教 (70866459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 竹炭 / 土壌改良資材 / ヒートアイランド現象 / 栄養塩利用効率 / 水利用効率 / Readily Available Water / Plant Available Water |
Outline of Annual Research Achievements |
屋上菜園を含む、都市緑化に広く応用が期待される土壌改良材として、竹炭を用いた実験を2つ行った。1つ目の実験では、竹炭に期待される、保水効果や、作物の収量増加、そして連作障害の緩和効果を検証した。具体的には農地の土壌を採取し、竹炭の体積含有率(0,10,20,30,40%)と有機肥料の施肥量(100,200 Kg N ha-1)の異なる土壌サンプルを作成し、屋外で灌水と追肥を行わずにリーフレタスを2作連続で栽培した。その結果、竹炭を使用することに伴う収量の増加効果や連作障害緩和効果は見られなかったが、収量が最大となる竹炭の混入率を特定した。2つ目の実験では、ヒートアイランド現象の緩和を目的とし、竹炭が土壌の冷却効果に及ぼす影響を屋内実験により検証した。具体的には都市緑化に使われる雨水貯留用土壌、空地土壌、園芸用土、コイヤに竹炭を混入し(体積当たり0、20、40%)、14日間照明を照射した。水分特性、灌水後の体積含水率、蒸発量、土中温度、熱流量、残存水分量の測定から、冷却効果の大きさを比較した結果、混入対象ごとに、冷却効果を最大にする竹炭混入率を特定するための重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、土壌の水分特性を理解するために重要な様々な測定を行う実験環境を整えつつ、様々な再生廃棄物の物性を調べた。その結果、山林保全活動より排出される未利用バイオマスとしての竹を炭化して作る竹炭に注目し、持続可能な土壌改良資材としての可能性を追求した。実際に屋内と屋外で実験をおこない、土壌改良材としての竹炭の付加価値に関して重要なエビデンスを示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験により、土壌改良資材としての竹炭が土壌の保水効果に大きな役割を果たす可能性が示された。特に土壌のしみ上げ効果を向上さることで、無灌水の時間が長く続く場合は、土壌深部(20cm程度)の水分も大きく減少し、灌水時に保水容量が増大する可能性が示された。排水口を、土壌底部より上部(5cmや10cmなど)に設けることで、土壌底部に強制的に保水する場合、このようなしみ上げの効果が、雨水の保水容量の増大に大きな役割を果たすことが知られている。従って、今後は竹炭を混入した土壌が、このような強制的な保水機構において、保水容量に与える影響も視野にいれ、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
屋外と屋内でそれぞれ実験をおこなったため、交通費や消耗品に対する費用が必要であった。
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