2021 Fiscal Year Research-status Report
大気CO2濃度が菌根菌との相互作用を通して光合成機能と樹木群集構造に及ぼす影響
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20K15559
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
赤路 康朗 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 研究員 (50810256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブナ / 菌根菌 / 葉緑素量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では冷温帯落葉広葉樹林(ブナ林)を研究対象として,大気 CO2 濃度の増加が主要構成樹種の光合成機能および樹木多様性に及ぼす影響について,菌根タイプの観点から評価することを目的としたものである. 令和3年度は,令和2年度に採取した試料(ブナ林土壌・ブナ堅果)を用いて栽培実験を開始した.しかし,キャビネットトラブルに起因する温度上昇のために全てのブナ実生が枯死した.そのため,秋に再度試料採取を実施した.土壌は昨年と同様に白山国立公園から採取し,実験に使用するまで4°Cで保存した.ブナ堅果については,白山国立公園内のブナが凶作だったため,福井県のモッカ平に生育するブナから採取した.採取した堅果は冷蔵(2°C)保存した. その後,冷蔵保存しておいた堅果を滅菌した赤玉土に播種しブナを発芽させた.子葉が展開した段階で実生を掘り取り,生重を計測後にブナ林から採取した土壌を入れた小ポットに移植した.この段階から高CO2区(700ppm)とコントロール区(約420ppm)に分けて栽培した. 葉緑素計(SPAD-502Plus)により本葉の葉緑素量(SPAD値)を計測したところ,葉のSPAD値は高CO2区よりもコントロール区の実生で高い傾向があった.一方で、土壌タイプ(ブナ林冠下土壌・イタヤカエデ林冠下土壌・トチノキ林冠下土壌)間でSPAD値に顕著な差はみられなかった.また,移植後約2ヶ月経過した時点で一部の実生について菌根形成の有無を調べたところ,上記3つの土壌タイプ全てにおいて実生の根に外生菌根が形成されているのが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キャビネットトラブルに起因する温度上昇により供試植物が枯死したために計画に遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在栽培しているブナ実生を対象に,光合成・成長速度・菌根化率などのデータを取得していく.また,イタヤカエデ実生を対象とした実験系を新たに構築し,データを収集する予定である.
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Causes of Carryover |
キャビネットトラブルに起因する温度上昇のために供試植物が枯死し,メインとなる計測が実施できなかったために消耗品購入が少なくなった.これらの費用は令和4年度の計測等の際に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)