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2020 Fiscal Year Research-status Report

林木の津波減衰効果と林床の砂の動態を統合した土砂移動モデルの開発

Research Project

Project/Area Number 20K15564
Research InstitutionForest Research and Management Organization

Principal Investigator

山本 阿子  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (40842498)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords植生被覆 / 海岸林床 / 津波 / 土砂移動モデル / 水理実験
Outline of Annual Research Achievements

本研究の重要な課題である粒径や植生の種類による土砂移動量への影響を明らかにする水理実験を実施するため,防衛大学校の水路に実験に必要な器具の作成および設置を行った.水路における流況を調べる予備実験(固定床実験)と砂床区間に砂と植生模型を置いた土砂移動水理実験を実施した.固定床実験の結果,水路内に段波を発生させた結果,汀線付近で水位40cm,流速1.2m/sを観測した.砂床区間では水位15cm,流速1.1m/sの値を示すことが確認できた.
土砂移動実験では,被覆度による土砂移動量を定量化するための林床模型を用いた基礎水理実験を実施した.植生模型の植生の被覆率が大きくなればなるほど土砂の移動量が減少する傾向が見られたが,配置によって大きく砂床区間が洗掘され,土砂の移動量が大幅に増加することが明らかになった.特に砂床区間の前方側に植生模型を設置する条件で増加することが確認できており,植生模型後方の砂床区間における洗掘の測定からも,他のケースと比較して深く洗掘されていることを確認している.これは植生が背後部に乱れ増幅させたことが原因と考えられる.また,植生模型を砂床区間後方に設置した場合,植生葉部に多くの砂が堆積していることも確認できており,植生本体による土砂の補足効果も影響している可能性が推察される.配置による影響と土砂の補足効果どちらが優位か明瞭でないため,今後植生の配置をより複雑にして確認する必要がある.
実林床を採取する地点の選定を行うため,太平洋側では千葉県,日本海側では秋田県で海岸の植生調査を行った.その結果,秋田県は由利本荘市,千葉県は富津市で試験採取を行った.採取した試料を水路に設置し,段波および定常流によって土砂移動量と植生,砂の粒径がどのように影響するかについて検討を行った.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウィルス感染拡大を受け,物流や出張の規制があったため,当初予定していた通りの物品調達や準備の実施に遅れが生じた.また,実験場や調査地選定のための出張も,感染防止の観点から制限が生じたため,調査期間や規模の縮小を行なった.実験に関しても本格的に作業が始めることができたのは夏以降となった.
実験場の準備および予備実験を実施し,ケース数を制限した形ではあるが,予定よりも繰り上げて被覆度による土砂移動量を定量化するための林床模型による実験を実施することができた.さらに,実林床調査の調査地選定を実施し,試料採取の予備調査などを実施することができた.

Strategy for Future Research Activity

昨年度,水路にて実施した水理実験は,水路内の流況を調べる実験と植生模型を用いて植生の被覆度による土砂移動量への影響を明らかにする実験,実林床を用いた実験を実施している.植生模型を用いたケースでは植生の被覆度が増加することによって土砂移動量が減少する傾向が確認された一方で,同じ被覆度でも砂床区間において植生模型の配置の変化により,逆に土砂移動量を増加させてしまう条件があることも明らかになった.原因として挙げられる植生の配置による乱れの誘発と土砂の補足効果のどちらがどれほどの影響を及ぼしているか明らかになっていない.今後は植生模型の配置を格子状など,様々な植生の配置に増やし,植生による乱れの誘発と土砂の補足効果の影響について考察する.また,植生模型の配置を格子状など複雑にすることで,より実林床への近い条件の土砂移動量を測定できることからも,これまでの流れに対して水平配置に加え垂直配置と格子状で全13ケースを実施し,土砂移動への影響の検討を行う.
昨年度試験的に採取し,水路実験にて実林床実験を実施し,運搬および設置から土砂捕捉まで可能であることが確認できたため,本年度は本格的に採取する試料の数および対象とする植生の種類も増やして実施する.調査地は昨年同様,日本海側の秋田と太平洋側の千葉で採取を予定しているが,可能であれば採取地を拡大し,より多様な植生と粒径条件による土砂移動への影響を明らかにする.また,昨年度の予備調査では,丈の異なる植生や種類の異なる植生をターゲットに採取を行なった.植生の丈の長さに影響を受けている可能性が確認できたが,採取した試料数が少ないことから,来年度は採取数を増やして実施する必要がある.
昨年度は,水路内で発生させている段波のサイズをどの条件も一定で実施している.波の大きさが異なった場合を実施し,波の大きさ(水位・流速)による影響を明らかにする.

Causes of Carryover

新型コロナ感染拡大のため,実施計画通りの調査および実験ができなかった.また,調査および実験に必要とされる物品の調達にも遅れが生じており,実施できる内容が制限された.本年度実施できていない調査および実験を実施するため,次年度未調達物品の調達を行い,新型コロナ感染拡大防止に努めながら,秋ごろを目処に調査地の選定や実験を可能な限り進めていく.

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] 津波による海岸林の土砂流出量に関する実験的検討 その1:模型林床の配置条件による影響2021

    • Author(s)
      小嶋暁生、鴫原良典、山本阿子
    • Organizer
      土木学会関東支部技術研究発表会
  • [Presentation] 津波による海岸林の土砂流出量に関する実験的検討 その2:段波・定常流と粒度分布の影響2021

    • Author(s)
      外山まこと、川原田啓太、福谷陽、山本阿子
    • Organizer
      土木学会関東支部技術研究発表会
  • [Presentation] 津波による海岸林の土砂流出量に関する実験的検討 その3:実林床の被覆の影響2021

    • Author(s)
      川原田啓太、外山まこと、福谷陽、山本阿子
    • Organizer
      土木学会関東支部技術研究発表会
  • [Presentation] Improving a sediment transport model with hydraulic experimental data to examine effects of vegetation coverage for embankment risk assessment2020

    • Author(s)
      YAMAMOTO Ako、TADA Tsuyoshi、FUKUTANI Yo、SHIGIHARA Yoshinori
    • Organizer
      海岸工学講演会
  • [Presentation] 林床植生による土砂捕捉調査のための地表掘削装置開発とその検証2020

    • Author(s)
      山本阿子
    • Organizer
      関東森林学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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